第23話
「そう。コンビニまであと百メートル位だったから、全力で走れば捕まることはないと思ったの。最悪、追いつかれても、大声を出せばコンビニの店員さんに聞こえるだろうし。あのコンビニ、夜は大体、人のよさそうな店長さんがお店に出ているんだよね。店長さん、ちょっと小太りなの。最近、見かけていないけど、元気かなあ」
「レジに行こうとして、ドアの近くに立っていたから、南由がすごい勢いで飛び込んできて、びっくりしたよ」
「もう。思い出し笑いして。だって、本当に怖かったんだもん」
紘くんのからかうような口調に、つい唇を尖らせてしまう。
あの日の事を思い出すと、怖い気持ちと紘くんに出会ったときめきがごちゃ混ぜになって押し寄せてきた。
追いかけてくる足音に怯えて、必死でコンビニに駆け込んだら、目の前に大きな身体があって、ぶつかりそうになった。見上げると、驚いた目で私を見ている紘くんと目が合った。
「誰かに追いかけられているんです、助けてください!」と訴えると、紘くんは私に商品棚の影に隠れているように言って、一人でコンビニの外を見に行ってくれた。その背中がすごく頼もしく見えて、怖さで早くなっていた心臓の鼓動がさらにドキドキしてしまった。
「足音はすぐ後ろに聞こえていたのに、紘くんが見た時には、誰もいなかったんでしょ?」
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