第11話 疑惑を調査すると同時に輸入品が来ました。

役所に戻ったハムザは、住民課に行って、あの家に住んでいる人たちが何者なのかを調べてもらうことにした。

それと農業振興課で、転生者が行っていた草原で、何かを育成していたか、生育している植物などがなにかを調べてもらった。



先に結果が出てきたのは、農業振興課から。あの場所は、作物の育成には不向きで、食べられるような作物は育たない、とのこと。木々が並んでいたところも、果実ではなく、その樹木の種が成る程度で、食べるようなモノも量も取れない、ということだった。


しかし、転生者は、その土地から何かを持ち出していたように見えたのだ。疑問が残る。



住民課からの返答がきた。住居登録上の住民は4人が住んでいることになっている。夫婦と子供2人という構成だそうだ。

「年齢は分かりますか?」

「えーと、両親はまあまあな歳ですね。子供はまだ小さいです。あー、子供は学校に行ってないようですねえ。」


あ…っと、一応説明をすると、オレは学校に行って、役所に勤めることになったけど、近所の同年代でも学校に行ってないで家のお手伝いをしている人は珍しくない。学校に行く人は、大都会に行きたい人くらいじゃないのかな。

でもそうなると、その家のことを知る人は、そう多くは無いだろうな。



*  *  *



「うーん…」

ハムザくんは総務の課長に、このことを話してみた。


「うーん…」

難しい顔を、ずっと続けている。

一応、この調査は、ギルドのメモ書きから発見した、報酬金の支出の多さの疑問について相談したことがきっかけだ。

報酬金の出資先の内訳を出したところ、転生者個人に支払われていることが分かった。

そこから、課長の判断で、聞き込み、それが出来なかったので張り込みと尾行ということになったのだ。オレが勝手にやったわけではないので、そこは言っておきます。



「とりあえず、その転生者には、『賞金稼ぎを家業としている事業主』ということで、商売の申請をしてもらうか。それで、役所と銀行に申告して、税金納めてもらうことにするか。」

「はい…、じゃあそれはギルドに伝えて、今度来た時に書類を渡してもらうように伝えておきます。…それと、」

家族4人の、という部分を言わなかったが、

「あの家の住民については、どうしましょうか。」

と聞いてみた。

「それは、まだ答え出せないから、ちょっと待っててくれ。」

と、即答が返ってきた。

「あ、はい、わかりました。」


*  *  *



東の道から、馬が列をなしてやってきた。馬の背中に荷物がたくさん積まれている。馬1頭につきひとり、それに先導と後方と、途中に数人、かなり大掛かりな行列の輸送集団がやってきた。

東の関所を通ると、畑の真ん中に小道があり、その道の奥をその集団は進んでいき、大通りからは見えなくなっていた。


*  *  *


南西の道から、馬車が3台連なってきた。こちらも物々しい武装集団に囲まれた御一行だ。

この人たちは関所からほど近い、水車のある家数件の前に停まった。

こちらは武装集団になにやら手渡すと、大喜びをしていた。そしてしばらくすると、武装集団は町に帰っていき、馬車と数名だけが残っていた。

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