第2話 地球のはじまり

  南大阪にある、とある高台にある街の外周をお腹を揺らして走っている男がいた。年齢は40歳過ぎぐらい。どこにでもいそうな大阪のオッチャンだ。僕はそのオッチャンの後ろをついていくように走っていた。オッチャンの走るスピードは速くなく、どちらかといえば遅い方だった。でも僕も遅いからなかなかオッチャンを追い抜かすことができなかった。

 たしか時刻は夜の10時頃だったと記憶している。オッチャンと僕の距離は20メートルほど離れていた。オッチャンは街の墓地の前を通過していた。その時、僕はウォークマンを聞きながら走っていたのだが、急に音楽が聞こえなくなった。なんだと思い、僕はズボンのポケットからウォークマンを取り出し画面を見た。その時だった。頭上で突然、太陽をもっと明るくしたような輝きが照りつけた。なんだと思った。するとその輝きが収縮しオッチャンに照りつけた。オッチャンはスポットライトに照らされたダンサーのような感じになった。オッチャンは驚いていたのか、腰を抜かし地面に尻もちをついていた。灰色の円盤がオッチャンの頭上にいたのだった。UFOというやつだろう。そしてオッチャンは尻もちをついて固まった態勢のまま光の中を浮遊し吸い込まれていった。このままでは僕も吸い込まれると思った。僕は逃げないといけないと思い、道の反対方向へ走った。そして離れたところから円盤を見た。すると円盤の窓から裸の暴れたオッチャンが写っていた。灰色の頭と目が大きい宇宙人も写っていた。オッチャンはどうやら服を脱がされたらしい。僕はオッチャンが襲われているのだと解釈した。僕はこれはやばいぞと思った。UFOは僕の頭の上にも来た。そして光が照射され僕も吸い込まれた。僕は頭が真っ白になった。UFOの中はオッチャンの他、女子高生、オバちゃん、男児などがいた。みんなで20人ほどだった。みんな裸だった。

 僕はその時思った。きっとこれから新しい星に行き、新しい地球を創るのだと。

 宇宙人たちはまるでゲームのように地球のような惑星を創るのだと。おそらく地球人たちはまさか宇宙人たちに創られたと思っていないだろう。最初の人類はおそらく他の惑星から記憶をなくされ連れてこられたのだろう。僕はおそらく地球のような人類がいる惑星は他にもあるのだろうと思った。

 地球は宇宙人たちに創られたのだ。

 

 そんなことを考えているうちにいつの間にか裸になっていた。服が煙のように消えていたのだ。


 僕は宇宙人に話しかけられた。

 「君は明日、〇〇星に行く。そこでアダムになれ。君の隣にいる女子高生がイブだ。よろしく頼むよ」


 僕は「はい」と言っていた。

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