第4話 夢、叶いました
神様が帰ってから俺はひとり部屋に佇んでいた。なんか未だに実感がないというかなんというか。
「夢...じゃないよな?」
だって昨日まで特に面白いことも無く、ただ大学に行き授業を受けて帰ってきて、バイトへ行き、疲れて風呂に入ってそのまま寝るという生活を繰り返していただけの大学生が、いきなりスーパーマンだぜ?信じられる?
「やばい、にやけてきた」
何度もステータスボードを出して眺めてはニヤニヤを繰り返すこと10分。何か忘れている気がする。パッと時計を見る。
「やっべ1限始まるぅ!」
今日は月曜日。レイが通う大学は1限が9時から始まる。レイの家は学校から徒歩20分の所にあるので、いつもは8時30分には出ているのだが、この朝のゴタゴタで気づけば8時50分になっていた。
「うわぁこりゃ遅刻確定じゃん...」
しかもよりによって今日は特別授業かなんかで遅刻厳禁と先週言われてたんだっけな?こりゃオワタ!さようなら俺の単位よ。達者でな!
「って諦める訳にはいかないよな。どうしたものか...」
そこでふと目の前のステータスボードが目に入る。
「そうじゃん!俺には【超創造】があるじゃん!これを使わない手はないじゃん!そうだな...【超瞬間移動】とか欲しいな!」
くっ、瞬間移動とかロマンに溢れすぎている!だって瞬間移動だぜ!?ぐふっ、微笑み(ニヤニヤ)が止まらねぇぜ!よし、イメージイメージ...できた!いくぞ!
「超創造!【超瞬間移動】!!!」
しかし何も起こらなかった。
「くぅう!ダメか...」
なんとなく予想はしていた。どうやらまだ【超瞬間移動】は無理らしい。他の手段を考えるしかないようだ。
「困ったな...【超筋肉】からの筋肉強化でひとっ走りするか?いや違う!もうこれは...あれしかないだろ!!」
レイはファンタジー小説で特に憧れていたものがあった。それは『空を飛ぶこと』だった。
「つ、ついに夢が叶うのか...?夢にまで見たあの大空に!俺は羽ばたいて行けるのか!これはもう空を飛ぶしかないでしょ!ねえ、そうでしょう?俺は鳥になるんだ!コケコッコー!」
一体誰に同意を求めているのか不明だし、絶対チョイスした鳴き声は間違っているが、そんなの今の俺にはどうでもいい。なにしろ空を飛べるのだからな!
「問題は、今のレベルに対応しているかどうかだな...」
そう、これまで【超魅力】や【超瞬間移動】が超創造できなかったように、空を飛ぶスキルが生まれない可能性があるのだ。
「まぁ物は試しだな!」
まずはイメージを膨らませる。空を飛ぶ鳥、空を自由に飛んでいる自分。うん、悪くない。なかなかにカッコイイぞ!いける!いけるぞ!飛べえええ!!
「超創造!【超飛翔】!!!」
頼む!来てくれ!
『レイは【超飛翔】を習得しました』
「ワオ...デキチャッタ」
あまりにもあっさりと出来てしまい、ついカタコトの日本語になってしまった。とりあえず【超鑑定】で調べてみる。
【超飛翔】
自分の思うがままに空中を飛翔できる。高度、速度をイメージでコントロールする。
「ふむふむ。やっぱ【超鑑定】で他のスキルを調べることができるみたいだな。【超飛翔】はイメージでコントロールするんだな」
さっそく試してみるか。まずはその場に浮いてみる。
「うおっ!う、浮いたぞ!浮きましたよ!うっひょー!俺は今浮いているのであります!!」
やはりテンション爆上がりは避けられなかった。ちなみにレイはテンションが上がると稀に語尾がおかしくなる傾向がある。
「次は前に進んでみるぜ!イメージイメージ...ってうわああああ」
気づいたら凄まじい速度で本棚に突っ込んでいた。どうやらテンションが上がりすぎて速度のコントロールに失敗したらしい。
「い、痛い.....なにこれムッズ...」
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