第2話 スキル、もらうぞ!

【超普通の大学生で賞】を受賞した俺は考える。


「どんなスキルにしようかな...」


 スキルというのは特殊能力みたいなものだ。ラノベを餌とする俺には説明は不要だ。


「ほんとにどんなスキルでもいいのか?なにか制限とかは無いのか?」


「ございませんよ?」


 うわまじか...これは困ったな。選択肢があれば意外と決めやすかったりするものだが、なんでもいいというものに限って難しかったりする。だが、こんなチャンス逃す訳には行かない。だって俺は超普通の大学生なのだから!(?)


「なんかオススメとかあるのか?」


 とりあえず聞いてみる。


「そうですね。見たもの全てを記憶する【超記憶】、どんな重いものも軽々と持ち上げる【超筋肉】、疲れても直ぐに回復できる【超回復】、異性からモテまくる【超魅力】などはどうでしょう?」


「ワ、ワンダフル」


 うおおおおおお!す、素晴らしい!これがファンタジー!!テンション上がりすぎてなんか変な反応しちまったぜ!どのスキルもファンタジーすぎる!この世界でこんなスキルあったら人生イージーモードすぎるでござる!特に最後の超魅力は素晴らしいな!いや決して下心は無いよ?もう一度言わせて欲しい。下心はある。


「.....どうかされました?」


 気づけば神様がこちらを変な目で見ていた。ば、バレたのか!?バレてしまったのか!?俺は確かに下心は無いと.....あ、ありました!


 まぁここは上手く誤魔化そう。


「あ、あぁ。ひとつ気になったんだけど、全部先頭に『超』がついてんのは、俺が『超普通』の大学生だからか?」


「(ニコッ)」


 いやなんか言えよ!!!ニコッ、じゃねぇよ!!いや待て、落ち着け俺。テンション上がってしまうのは仕方ないが、冷静さを失ってはいけない。なんだか今、すごく人生が掛かってる気がするから。


「そうだな...戦闘系もなかなかロマンがあって良いな。いやでも超回復とか超魅力みたいなスキルもいいよなぁ...」


「お時間はありますので、じっくりお決めになってください」


「うん助かるよ。少し考えさせてくれ」




 ー1時間後ー


 俺は迷いに迷っていた。

 どこに迷っていたのかというと、


「うーん、全部欲しいんだよなぁ...」


 超普通の大学生佐々木レイは超強欲だった。


 あれから他にも神様に色んなスキルを聞いた。どれも魅力的で聞けば聞くほどレイは路頭に迷って行った。


「マジで全部欲しいな...全部...全部...ん?」


 俺は思いついてしまった。この難局を打開する方法を!!


「ふふ、ふははははははは!!!」


 すみませんお巡りさん!ここに天才がいます!!捕まえてください!


「なあ神様、ほんとにどんなスキルでもいいんだよな?」


「ええ。何度も申しておりますが...」


「決めたぞ!俺が手にするスキルは...」


「そのスキルは.....?」





「【超創造】だ!!!!!」


 俺は左手を腰に、右手は空高く拳を突き上げ、今まで生きてきた中でぶっちぎりのドヤ顔&キメ顔で、そう答えたのだった。


「そんなスキルございませんよ?」


「.....へ!?」


 は、恥ずかしい!!だ、誰か俺を!俺を海の底へ沈めてくれぇ...!お巡りさん!やっぱり俺を捕まえてください!


「冗談ですよ」


 この神様、ぶっころがしていいですか?殺しはしません、神様なのでね。転がすくらいなら良いでしょ?てか死ぬの?神様って。


「では、ササキ様に【超創造】のスキルを授けます。このスキルは、ササキ様のお考え通りスキルを生み出すスキルでございます。使い方などは後ほどご説明致しますので、まずは受け取ってください」


「やっぱりか!良かったぜ!早速頼む!」




 こうして俺のスキルは【超創造】に決定したのだった。









  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る