第2話 秀吉

「いや、俺は全くの別の場所から来たんですって」


タイムスリップして来た俺は、いきなり殺されかけていた。おそらく言動から判断するにここは戦国時代なのだろう。しかも今はあの織田信長が美濃国みののくにを取るための戦いというところまでは分かった。問題は殺されずにここを逃げ出せるかどうかだが…


「で、お前は一体どこから来た!?」


「えーっと…(俺が住んでいたのは名古屋だからここなら尾張か…というか尾張ならこの人達も尾張から来たもんなぁ…)尾張国おわりのくにから来ました」


「は!?尾張おわりからだと?ふざけるな!」


「いや、ふざけていないんですって…(まぁ来たは違うんだけどな…)」


「とりあえずお前はこっちに来てもらおうか。反抗したらこれで刺されると思え」


そういって兵士の人は槍をこっちに向けてくる。正直言って怖かったので大人しく頷いていた。こうして俺は、この時代に飛ばされてわずか2時間足らずで罪人になってしまうのだった。




「何?怪しいものを捕らえてきただと?」


「はい、秀吉様」


といって俺は秀吉の前に出された。そして秀吉の方をじっと眺めていたのだが、いきなり後ろから兵士の人に頭を地面に押し付けられた。正直に言う。物凄く痛かった。


「そなたの名前は何という?」


「北川遥斗といいます」


「そうか、ハルトか。ではそなたに聞こう。そなたは一体どこから来た?」


尾張国おわりのくに…正確には未来から来ました」


「ミライ…とはどこじゃ?」


よし、ここが説明できる最後のチャンス…と思い俺は思い切って言ったのだった。


「未来とは、後の時代のことです。僕は500年ほどあとから来ました」


「ご、500年あとからじゃと!?どういうことじゃ?もっと詳しく説明せい!」


こうして長くなるであろう説明が始まったのであった。

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