第15話 2の矢 終話&ジョチ1 

   2の矢 終話 

  人物紹介


 ホラズム側

オグル・ハージブ かつてのブハーラーの守将。

シャイフ・カン かつてのサマルカンドの守将。

クトルグ・カン かつてのジャンドの城主。

 戦況の推移とともに、3人ともウルゲンチに逃げて来たのである。

  人物紹介終わり


 送り出したクトルグ・カンの想うところとは。


 ちょうど、何か新たな策が必要と想っておったところ。ジョチが和平派、チャアダイが強硬派との情報があったので、そのジョチの方に赴かせたのだが。

 

 モンゴル全軍が和平に応じれば、その油断しておるところを一気に攻め込み、勝負を決したものを。


 あるいは、ジョチのみ和平に応じれば、手を結び、他のモンゴル軍を攻め破り、その後でジョチを滅ぼせば良いと、そうもくろんでおったのだが。


 ただ、モンゴル軍の間にくさびを打ち込むことはできたようであった。ジョチの方は攻撃に加わっておらぬとの情報があった。


 オグルとシャイフの策はまさに2の矢となろう。ならば、我も助力せねばなるまい。援軍に駆けつけることを望む者を募るとしよう。




    ジョチ1


  人物紹介

  モンゴル側

 ジョチ:チンギスと正妻ボルテの間の長子。

  人物紹介終わり


 ジョチは想い出しておった。


 その親指を見つめながら。


 記憶にあるそれは小さく、今の己のものは、むしろ塗ってくれた指に近い。その無骨なる様は。


 父上に指に獣脂を塗ってもらったのであった。初めて猟に連れて行ってもらったときのことであった。そのときは、一頭も仕留しとめることができなかった。随分と悔しき想いをしたものであったが。


 その想い出は、年を経るにつれ、懐かしさを伴うものとなっておった。しかし最近、しきりに、このことが想い浮かぶのは何ゆえだろうか? 

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