第4話 オトラル戦1

  人物紹介

 ホラズム側

イナルチュク・カン:オトラルの城主。カンクリ勢。


  人物紹介終了




 イナルチュクは遂にモンゴル軍が城門前に現れたと聞き、急いで城壁の上に駆けつけた。黒のトクをかかげた騎馬に先導させて、派手な甲冑かっちゅう姿の騎馬武者きばむしゃが城門へと近付いて来るのが見えた。それから、その者が大音声だいおんじょうを発した。


「我らの使者と隊商の惨殺ざんさつの罪を問い、それを罰するために、これよりのちチンギス・カンが六百の千人隊を率いて来る。イナルチュクとその一族には死を、オトラルにはほろびをたまわることになる」


 朗々ろうろうとその声はオトラルの空にひびき渡った。イナルチュクはそれを聞き、憤激ふんげきのあまり自ら強弓ごうきゅうを引きしぼると、その声のぬしねらいを定め、矢を放った。

 

 そして、その矢は頭を狙ったものであったが。さすがにこの距離では狙いたがわずとは行かず、あらぬところに落ちた。

 

 を置かず、二の矢を放つ。多少は近付いたとはいえ、風が吹いておることもあり、やはり当たるにはほど遠い。それでも、その者があわてて馬首ばしゅを返し、自隊に戻るのが見えた。

 

 その後すぐさまイナルチュクは精鋭の一隊を放つ。城門が開け放たれ、騎馬軍が出撃すると、敵は闘うこともなく逃げ散った。

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