情熱

後田 燐寸

情熱

 目が覚めたとき、私は情熱を覚えていた

 深い眠りから私を連れ戻す、情熱を覚えていた

 けれども私を包んだのは日常ではなく

 むしろ煌めく夢の陽光だった


 着替えもせずに、筆を執った

 情熱は湯水よりも冷めやすいと知っていたから、筆を執った

 今日は掴めるのだろうか

 この情熱の名前を


 日が南へ昇ったら、通り過ぎたあのカフェテリアへ行こう

 後でと言わず、今すぐにでも行こうか

 ありきたりな日常は明日も続く

 だから変化に惚れてしまうのだ


 情熱は私を覚えていた

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情熱 後田 燐寸 @m4tch6

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