第2話 六華学園
都内某所にある
「ふぁぁああ……あふぅ…………」
朝のHRが終わり、担任の
そんな冬二の姿を見て「くすくす」と微笑するのは、隣の席に座る幼なじみ・
白雪のような肌と、
「おっきなあくびだ、トージ」
「んあ? ああ、ちょっと寝不足でさ」
「またバイト?」
「ああ」と
そんな今にも寝てしまいそうな彼の前に、とんっ、と一本のエナジードリンクが置かれた。
「ほれ、
そう言うのは、冬二の前の席に座る男子生徒であり学園に入ってからの友人・
「え? おい、いいのか? これ結構高いだろ」
「いいさ、気にすんな」
冬二は景太に貰ったエナジードリンクの蓋を開け、眠気を飛ばすように、ぐいっと
「深夜バイトなんて、お前よくやるよな。清掃業者、だっけ?」
「ああ。……不要なゴミの始末」
「ふーん。ってか、何で深夜に清掃なんだろうな?」
「まぁ、本当のゴミっていうのは夜によく出るもんなんだよ」
景太は「そういうもんか」と不思議そうに呟く。
「その調子なら、数学の宿題やってきてないだろ?」
「…………あ。忘れた」
「だと思ったよ。ほれ、俺の
「おー。さんきゅー」
そう言って景太は自分のカバンから一冊のノートを取り出して、冬二の前へと置く。それをルナが横からすかさずにかっさらう。
「甘やかしちゃダメだよ、櫛目くん。自己管理できてないトージが悪いんだから」
ルナはマシュマロのように柔らかそうなその頬をぷくっと膨らます。
「トージもすぐに受け取らないのっ」
「相変わらず厳しいな、ルナ」
「バイトも良いけど、学生の本業は勉強だよ」
「……ごもっともで」
ルナの正論に、冬二は小さくため息をつく。
「忘れてきた宿題は手伝えないけどね……。バイトなら手伝えるよ?」
「……え?」
「トージのバイトって一人でやってるんでしょ? だからそんなに疲れてるんじゃないの? だから私が手伝ったげるよ」
翠玉色の瞳でトージを見つめる。割と……いや、結構真剣な表情。どうやらルナは冗談ではなく、本当に手伝うと言ってくれている。「甘やかしちゃダメ」なんじゃないのか、と。冬二はバレないように微笑する。
「ありがとう、ルナ。……けど、このバイト、俺にしかできないからさ」
「なんだそれ」と景太が笑いながら呟き、手伝いを断られたルナは、しゅん、と
「結構時給いいからさ。二人には紹介したくねぇの」
「やっぱりかよ」
しかし、どうやらその冗談が通用したのは、景太だけのようだった。ルナは依然と顔を曇らせる。
「ご馳走様、景太。缶捨ててくるわ」
そんなルナから、冬二は逃げるようにして席を立った。
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