第3話 告白
こんなルックスだけは一流の人にオ○ニーと言われるのはとても気持ちがいいことだ。
思わずニヤリとしてしまいそうなのを抑えて。
「ああ、聞いていたぞ。お前の喘ぎ声」
「ああ──っ、死にたい死にたい死にたいっ!」と沙織は頭を抱えながらしゃがむ。
全くいい気分だ。
元カノをバカにするものは。
「あーあ、耳にタコができるように聞いたわ〜、お前の喘ぎ声」
泣き目なままこちらを見る沙織。
そろそろ学校に行かなきゃ遅刻する時間帯になってきたし、これくらいでいいだろう。
俺はドアノブを持ち、沙織の方を振り返り「このオナ中さん。学校でオ○ニーすんなよっ!」と鼻で笑いバカにするように言ってドアノブを回すその時だった。
「ま、待ちなさいよっ……」
背後からグスグスと言う沙織。
「なんだよ、ほらお前も学校──」
パタンと背後から地面に布が落ちる音がする。
「行かなきゃ遅刻するぞ?」
「も、もうこうなったら、仕方ないわっ!」
……何がしかないだよ。
仕方ないで済まないぐらいこれからもオ○ニーをネタにしてやるからな。
いわば沙織の弱みを俺は握った同然、この弱みを使えばなんでも言うことを聞かせることができる。
裸になれなんて余裕だろう。
ナイスボディなわけだし少し気になるところがある。
タタと床を裸足でこちらに向かって歩く足音がする。
なんなんだ?
そして、背中には二つの柔らかい感触がした。
多分、沙織が抱きついているのだろう。
なんなんだ?
いや、待て……この感触は──!
俺は鈍感主人公なんかじゃない。
これがなんなのかぐらい揉んだことも実物を見たことが──いや、お母さんのやつあったわ。
そんな俺でもこれが何かぐらいわかる。
そう、これは──。
生のおっぱいだ。
ドアノブから手を離す。
「──行かないんだ」
少し緊張しているのか心臓がドクンドクンと身体中に鳴り響きうるさい。
この俺が大嫌いな元カノによってこんな気持ちになるなんて……最悪だ。
「違う、行けないんだよ」
徐々に生暖かさが学ランを着ているのにも関わらず感じてきて気持ちがいい。
一体なんで、大嫌いな俺にこんなことをしてくるのか見当もつかない。
「……な、なあ──お前って今──」
きっと、からかっているのだ。
本当に脱いでいるなんてありえない。
そ、そうだ。
多分アレだろ、クッションだったとかのオチだろ!
危うく騙されるところだったぜ。
だから、俺は後ろを振り向こうとした。
が──。
「後ろを振り向かない方がいいよ。私、今上半身裸だから」
どうやら、本当に脱いでいるらしい。
きっと今の沙織のセリフは嘘ではなく本当だ。
一度彼女と付き合った俺だからわかる。
彼女は嘘が嫌いだということを。
「なんで、俺にそんなことをしてるんだよ」
俺に痴女呼ばわりされたいのか、それとも俺をこうしてからかっているのか。
色々なことを考えられる。
どうしてだ、どうして彼女は俺にこんなことをする?
「そんなの私をもう一度普通の、元カノじゃなくて普通のそこら辺にいる特別視しない女子高生として見て欲しいからだよ」
意味がわからない。
今頃そんなことできるはずがない。
付き合って別れた以上、俺と彼女は元カレ元カノ以外の関係にはなれない。
「無理に決まってんだろ、今更何言ってんだよ?」
もう俺たちは出会った頃の関係には戻れないのだ。
「なんで、なんで、今頃。しかも、このタイミングでそんなことを言ってきたんだよ? 意味がわかんねーよ」
「勇作に未練があるの。──私、勇作ともう一度付き合いたいっ!」
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