第2話 隣の住人は元カノ

「なんでお前が俺の部屋の隣にいるんだよ!」


 最悪だ、本当に最悪だ。

 もちろん元カノが隣にいることも最悪だ。

 でも、それ以上に元カノの喘ぎ声でオ○ニーをしたことがあることが最悪だ。


 沙織は俺を睨みながら、腕を組み。


「ほんとっ最悪……待って今のセリフって……はあ、なんでこんなやつが隣にいるのよ。朝から気分が悪くなってしまったじゃない」

「んだと、こっちこそ同じだ! お前のせいでこれからの俺の生活が最悪になりそうだ!」


 俺は沙織に負けぬように強く沙織を睨みつける。


 透き通るほど綺麗なぷるんとした肌、黒く長い髪、ボンキュッボンと完璧なルックスに目がいってしまう。


 いかんいかん、こいつ、ルックスは完璧だけど性格は終わってるんだ。


 一年前、中学三年の春から秋にかけて俺と沙織は付き合っていた。

 最初はこんな彼女なのだめちゃくちゃ可愛いと思っていた。

 だが、日に日に彼女はウザくなっていた。

 というか、元からうざかったがルックスのせいでなんでも許してしまっていた。

 でも、堪忍袋の尾が切れた俺は彼女に別れを告げ、口喧嘩になり別れることとなった。


 それを味わったことがある俺にとって水瀬沙織は人生でもう二度と関わりたくない人間である。


 ふん! とそっぽを向く沙織。


「ほんとっ、きもいわね……朝ごはんが逆流しそうだわっ!」

「んだと……ってそうだ」


 こいつのせいであやうくここに来た目的を忘れるところだった。


「何よ? もう一度付き合うとでも言うの?」


 本当に俺はこいつは無理だ。

 そういうところが大嫌いだ。


「このお花畑やろうが、違う。お前って一人暮らしなのか?」

「ええ、そうよ。二週間前からここに引っ越してきたの。ほんとっ、あんたと隣の部屋関係じゃなかったら学校からも近いし最高の物件なんだけどね」


 などと髪をいじりながら言う彼女をみると本当に拳が出てしまいそうだ。


 だが、どうやら彼女は一人暮らしのようだ。

 つまり、あの喘ぎ声は彼女によるものである。


 だったら、やることほ一つだろ。


 俺は今からすることへの興奮により口角がニヤリと上がる。


 少し引き気味で。


「なっ、何よそのキモい顔はっ!」

「あん? ただお前って性欲強いよなぁ〜って」


 俺の放つ言葉に顔を真っ赤に染める沙織。


 顔を慌てて両手で隠して。


「はっ、は──っ!? 何言ってんの? キモいんですけど!」


 俺がここにきたわけは夜の喘ぎ声への苦情だった。

 元カノが隣の住人というのは予想外だったがそれはそれで面白い。


「俺は全部知ってんだぜ? ──お前が深夜三時頃にオ○ってんのよをっ!」


 ぷるぷると泣き目で俺の手首を握る沙織。


 焦っているのかめちゃくちゃ手汗で濡れていた。


「なんだよ、今から俺を襲って欲求解消でもすんのかよ?」

「ち、違う……ちょっと中に来なさいっ!」


 そのまま、沙織は俺の手首を思いっきり引っ張り、俺は強引に玄関の中は入った。


「た、単刀直入に聞くけど……あ、あなたは夜……私がその、その……してたの知ってるの?」


 あの喘ぎ声を聞いて知らないと言う方が難しいだろう。

 どうやら、こいつが喘ぎ声の原因で間違えはないらしい。


「は? なんだよしてたってさ?」


 彼女が俺は大嫌いなため少し意地悪気味な質問をする。

 

 俺と付き合ってた時はそういった性的な行為はなく手を繋ぐぐらいの関係だった。

 そのためか、少し彼女がそういうのをしているのだと思うと興奮するところがある。


 沙織はスカートをしわくちゃになるほど強く握って言った。


「そ、その……このクソ勇作! お、オ○ニーよ!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る