アパートの隣の部屋から喘ぎ声が聞こえるので注意しに行ってみたら元カノだった
さい
第1話 隣の住人の喘ぎ声がうるさすぎる!
四月十六日、高校生活が始まって一週間が過ぎた午前三時頃。
「────//」
今日もまた隣の部屋から喘ぎ声が聞こえる。
それは布団に丸くなっても聞こえるほどの声量だ。
多分、壁一枚の向こうからだからだろう。
くそ、アソコが……。
「勘弁してくれよ、俺は明日学校なんだよ。毎日毎日喘ぎ声のせいで寝不足なんだよ!」
ちくしょう、と俺は布団から出る。
ここ、青木市にある青木高校に一週間前から通うことになった俺こと清水勇作は二週間前ほどからここサンマークというアパートで一人暮らしを始めたわけだが。
毎日午前三時頃から今日のように隣の住人の喘ぎ声が三十分ほど聞こえるのだ。
隣の住人が男なのか女なのかはわからないが、女だったらいいなと思ってしまう。
……本当にお盛んなこと。
もしだ、もし隣の住人が女なのならば俺が性欲処理の手伝いをしてあげたいぐらいだ。
「……喘ぎ声止むまでYouTubeでも観て気を紛らわせるか」
普通の喘ぎ声ならなんも思わない。
なのに、隣の住人はハードモードが好きな方らしくめちゃくちゃエロい喘ぎ声が聴こえるのだ。
俺自身感じたことのないほどエロいためアソコがこの喘ぎ声を聴くといつも元気になってしまう。
眠く重い瞼を頑張って開きながら俺は目をボソボソとかく。
「ふぁ〜三十分のしんぼ……」
「──────────────────////////」
が、しかし。
この日はいつもよりもハードモードをやっているらしく近所迷惑になるぞ!
というレベルの声量が響き渡る。
当然俺の息子も黙っているわけにはいかないのだ。
「や、やめてくれ〜、さっきまで寝てた息子が起きちまったじゃねーか!」
ああ、早く引っ越してー。
今はまだ高校一年生だからセーフなものの高校三年生になってこの空間で受験勉強をしてみろ。
保健体育だけ満点レベルになっちまうぞ。
「クソ野郎、こうなったら。明日の朝、苦情に行ってやるよ!」
俺が引っ越してきてから二週間、毎日、毎日、オ○ニーしてんじゃねーって。
せめて俺と合わせて週一にしてくれ! って。
この日の深夜、俺はYouTubeを観ているうちに寝落ちをしてしまった。
○
ということでやってきた四月十七日の朝、俺はいつもより三十分早く起きて朝食を食べ制服に着替えて身支度を終えると。
「よし、苦情を入れないってやる!」
玄関から出た。
ふぁ〜と大きくあくびをする。
「……くそ、隣の住人のせいで今日も寝不足かよ」
ああ、隣の住人が男でそれもめちゃくちゃ怖い人だったらどうしよう。
そんな不安もあったが、逆に女だったらそれも美少女だったら……と考えると行くしかねーだろ。
昨日のせいで息子は元気を使い果たし今日の朝はしょんぼりと疲れていた。
こんなこと言いたくはないが、俺は性欲処理を土曜日という決まった日のみにしている。
なので、それ以外の日にそういうのを観たり聴いたりすると土曜日までの我慢がキツくなる。
隣の野郎に土曜日の夜だけにしてくれって伝えなきゃな。
そして、俺はインターホンの前に立つとすぐさまピーンポーンと鳴らす。
眠気のせいで怖い人だったらとは思ったが別にそれに対して緊張はなかった。
「は〜い」
しばらくすると、こちらに向かってくる足音がする。
よかった、今の声からすると女のようだ。
それもまだ女子といったところの声だ。
つまり、毎晩の喘ぎ声は女子によるものとなる。
せめて午後十時以降にするのはやめてもらおう。
それかお風呂場でしてもらおう。
ガチャリと玄関が開いた。
「はい、どうしま──って……」
「あのさ、大変言いにくいんですけどその……夜の行為──」
視界に入った女の子に俺は開いた口が閉じなくなる。
は、は?
「待て、お前っ!?」
「なっ、なんでここに勇作が──」
目の前には一人の制服姿の女子高生がいた。
それも赤色のリボンから同じ一年生だ。
いや、それだけでも驚きだ。
でも、そこにいた彼女の名は水瀬沙織。
俺の元カノだったのだ。
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