第46話 デワルズ討伐 後始末

 「テルユキ。もう終わりだな。でこいつらどうする」


 「ああカノメス。もう処理方法は決まっているから大丈夫。ティナ陛下の許可も貰っている。このまま戻りましょうか」


 ドルホがライトを背負って、その背中をラミルがさすっている。それを見たカノメスが。


 「えっ?ライトさん負傷したの」


 「違いますが、早く休ませたいので」


 ラミルがさすりながら答えた。


 「バトスメルさん。向こうへの門開けて。全員帰還する。その分の魔力を送るから心配しないで。先にライト様達が行きます、続いてメデス様、怪我人が行きます」


 「了解しました。どうぞ」


 テルユキが臨時で作った土壁に門が開き。怪我人が続々と運ばれて行った。


 「おぉぉい。テルユキ、ライトさんはどうしたんだ。ケガか?病気か?お前が居ながら何してやがった。俺もライトさんについていって看病する」


 「スピランス落ち着いて。ちょっと気分が悪くなっただけ。大丈夫だよ」


 「気分が悪くなっただけでも十分ヤバいだろう。本当に大丈夫なのか?」


 「心配性だねスピは。ラミル様とドルホ様がついているから、君はお呼びじゃないよ」


 「うおぉぉぉぉ。ライトさぁぁぁぁん。こっちの処理が終わったらすぐに行きますからねぇぇぇぇ」


 そこにライトたちの姿はすでになく。門に向かって兵たちが続々と歩いていた。


 「テルユキ。いいの。寝転がっているの千人は居るけど。このまま放っておくと魔獣や魔物のエサになって後の事が大変になるけど」


 「大丈夫。心配いらないです。ここはノーデスさん達に任せて、四人でエルフの森の残党狩りに行きますよ」


 「了解」


 四人がその場から消えた。




 デワルズ討伐から三日後朝食後。ノーデスの屋敷の食堂。


 最初の会議の面々が集まった。


 「この度の一斉討伐皆ご苦労であった。感謝する。デワルズの取り巻きをすべて処刑。デワルズ及びガジルダット二人の魂は一年間苦痛を味わう。また、この戦いに参加した敵及び売買人はすべて処刑した。ただし十五歳以下は教導院の管理施設で更生させる。またヴィヴィアンズは獣人王国のヲガライネン国王への遣いとして送り返し。今後この大陸への一切の関与を死をもって認めぬこととした」


 「メデス。負傷者の報告」


 「はい。今回の戦いの当方の人的損害は死者無し


 食堂内がどよめいた。


 「重傷者十三名、数日で全快できますが内二名が腕の欠損。また二名が片目失明。軽症者百余名はすべて回復済み。以上です」


 ティナが立ち上がり。 


 「我はこの人数を少ないと思わない。必ず皆を元の体に全快させる。安心して待っていて欲しい」


 「カノメス」


 「デワルズ討伐後、我々四人でエルフの森で残党およそ三十人を処分しました。エルフ及びこちらの犠牲者は無し」


 「フラポット」


 「ワストンのデワルズの屋敷及び倉庫は掌握済み。周辺の仲間は現在も掃討中。今日、明日中に完全掌握できます」


 「バトスメル」


 「物的損害は武器を除けば皆無でした。またデワルズの屋敷を含めた鹵獲品が多数あり、現在売りに出しておりますのもう暫くで現金化でき特出金を全員に出し、使用した食料費等に充ててもかなりのおつりが出ます」


 「ノーデス」


 「はい。今回デワルズの屋敷、倉庫、売買人から押収した悪魔の粉はおよそ三トン現在洞窟前の館にて厳重に保管されております。ヴィヴィアンズから焼却しても煙を吸うとより危険なものとなると聞いております。よって後日湖にて水没処分としますが、東の森を通過するための安全対策検討後となります」


 「今回の一件で何か他に報告及び意見の有る者」


 「カノメスです。イエローロックの戦闘及び村での死者はどうなったのでしょう。エルフの森の者たちは焼却しました」


 「現在、我が旧知の仲間と一体残らず厳重に保管している。心配には及ばん。こちらで責任をもって処分する故安心しろ」


 「ドルホです。村の戦闘に加わっていたヤルスからの報告で、この戦の間でその村に住み着くものが出てきたようです。いかが致しますか」


 「ヤルトスです。その件に関しまして、疑似村として運営していたのですが近隣から応援にきてくれた者達がこのまま住みたいと言っています。周りの村落からすれば十分な広さと外壁で安心して住めるとのこと。すでにロスフォン様の指示役の方が取りまとめ役となって組織が出来てきました」


 「そうか。ならばあそこは元々色々な意味で空白地帯だったからな。我の森の入り口の要にもなる、ロスフォンお前が責任をもって管理しろ。皆の者も良いか」


 「御意に」


 「よし決まりだ。頼んだぞ」


 「謹んでお受けいたします」


 「して、その取り纏めている者は?ロスフォン」


 「はい。それがあの時手の空いている者がおらず、せめて外観だけでも整えさせようと当家の庭師、ジアガーデに当たらさせました。フラポットの祖父です」


 「知らぬものではないのでな問題は無い。求心力があるなら任せよう」


 「ありがたき幸せ」


 「そうなるとお主の庭師がおらんくなるな」


 「問題はありません。ジアガーデの息子夫婦、フラポットの両親のジアフラン、妻のポルガレットがおります。これは後程お礼と思っておりましたが、この度のフラポットの悪逆非道な振る舞いを軽微な罰にて見過ごしていただいたこと、また、ロレーナとそのむ


 ティナがロスフォンの話を右手で止めた。


 「ロスフォンまて。謝罪は後で聞こう。今はその子の名をフラポットから直々に聞く」


 「はい。その節は大変ご寛大な処置を頂き誠にありがとうござました。娘の名は、恐れながらティナ陛下の名をお借りしましてティファナと名付けました。申し訳ございません」


 「謝ることは何もない。良い可愛い名ではないか。ティファナ。我とお主とロレーナから取ったか。気に入ったぞ。そのティファナは元気か」


 「ありがとうございます。すくすく成長しております。また、リアティナ様と同い年なので二重の喜びです」


 「そうだな。良かったな。しかし、軽微で寛大な処罰はしておらん。我が思う厳罰だ。心して大事に育てよ」


 「ありがたき幸せ」


 「ロスフォン、ティファナは我がその命を認めた子。リアティナ同様大切にするように。よいな」


 「御意に」


 ロスフォン・ノーデス・カラチョムはこの言葉を聞いてこの後、庭師の娘ティファナに屋敷を与え敬うようになっていく。


 「あと何かあるか?」


 「・・・」


 「なければこのまま昼食としよう。良いか?」


 「御意に」


 「ティナ陛下、お願いがございます」


 「テルユキ。申してみよ」


 テルユキはティナの側へ行き、小声で話した。


 「皆の者。今より我に付き合え。反論は許さん。屋敷内の者及び警備兵も誰一人も残さず全員、皆一斉に庭に出よ。フラポット、ロレーナとティファナもおるか?」


 「はい。こちらの屋敷に来ております」


 「では、庭に連れてまいれ。皆の者行くぞ」


 食堂の者達が何が始まるのかわからないまま庭にでた。


 「厨房の者全員そろったか。怪我人もおるな?ノーデス」


 「ヤルトス、バトスメル確認しろ」


 「はい。揃いました」


 「テルユキ。良いぞ」


 「では、皆さん。今、両隣にいる方を確認してください。覚えましたか。では目を閉じてください。リアティナ様とティファナさんの目を軽く隠してください。絶対、開けてはダメですよ」

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