第47話 リアティナとティファナ

 「はい。皆さん目を開けてください。今すぐ両隣の方がいるか確認願います」


 「皆揃っておるか?ノーデス」


 「みな確認しろ。いない者はいないか?」


 「大丈夫です。が、ティナ陛下ここは?」


 ノーデスが周りを慌ただしく見まわして、ティナに尋ねた。


 「皆さまお待ち申し上げておりました。洞窟前の館の庭でございます。ご昼食の準備が整っております。この庭で召し上がっていただきます」


 館の者達が出迎えた。


 屋敷からきた全員が驚いた。怪我人はベッドのまま転移してきた。整然とガゼボが並んでいて、調理場も併設している。


 一番でかいガゼボにティナがノーデスやエルモア達を招き入れた。


 「ここが我の館だ存分に寛いで食べるが良い。すまんが酒はないがな」


 「素晴らしいですな。ここがあの館ですか?」


 ノーデス、ロスフォン達が目を回して驚いている。


 「あっはっはっはっ。愉快だ爽快だな。あの驚き様。痛快痛快。テルユキこれは楽しい。何か褒美を与えよう。何か言ってみよ」


 「ティナ陛下の笑顔が見れれば十分幸せです」


 「欲のない奴め。我がいつもお主の前で笑顔でいられる方法を考えてくれ」


 「はい」


 エルモアとイテリスがティナの側に近づき。エルモアが。


 「ティナ陛下。食事の前に城壁を見て回っても良いでしょうか?」


 「用意まで暫くかかるであろう。構わんよ。行ってみて来るが良い。アイエ。エルモアに城内の案内を付けてくれ」


 「畏まりました。エルモア様こちらへ」


 ノーデスやヤルトス、イテリス達も後を追った。さながら観光地巡りとなった。


 「テトどうした?」


 「陛下、今のうちにお部屋でリアティナ様にお食事を。それと移動の弊害が無いかメデス様にリアティナ様達のお体を見ていただきましょう」


 「そうだな。ロレーナ。ティファナと一緒に我の部屋にどうだ」


 「よろしければご一緒させていただきます」


 「テト。あの者達も一緒に頼む」


 「畏まりました。三人手伝って。メデス様もお願いいたします」


 テトが近くにいた側仕えに頼んだ。


 「畏まりました」


 側仕えが二人の周りに集まり。付き添った。


 部屋に入って二人が授乳を始めた。メデスは子供たちの様子を見ている。


 「テト。勇者たちはどうした。あの後見かけないが」


 「はい。カノメス様達とゲットーオスメ様の隊それとドルホ様、ラミル様 ライト様は簡単食を持って周辺警戒に向かわれました。


 「そうか。悪い事をしたな」


 「テルユキ様がティナ陛下に気になさらないようにと仰っていました」


 「悪魔の粉は?」


 「はい。テルユキ様がこの地下に新たに出入口の無い金属を含む岩盤をくりぬいた密閉の時間停止の地下室を設けそこに保管しております。転移不可です」


 「また恐ろしいものを作りよったな」


 「全くです。半永久保管可能だそうです」


 「時間停止もか?」


 「はい。自動で周りの魔力を吸収し、この大陸から魔力が無くならない限り作動する。もし魔力が無くなっても現在のありとあらゆる知識と道具を用いても取り出すまでに五十年以上かかるそうです。最もそこに埋まっているのを知るのはここの者達だけですし、費用対効果を考えれば無駄足です」


 「全くだな」


 「ご昼食はこのまま摂られて、夕食前にお風呂になさいますか?」


 「そうだな。ロレーナ今日は二人で、いや全員ここへ泊っていけ」


 「私たちもよろしいので?」


 「ああ構わん。テトその旨の手配頼む」


 「畏まりました」


 「ロレーナとティファナは我の部屋に泊まればよい」


 「はい。では、お言葉に甘えて宜しくお願いいたします」


 「テト、ティファナ用のベッドはあるか?」


 「いえ。ございませんが、ティナ陛下。リアティナ様をご覧ください」


 「リアティナか?おやおや。ティファナが気になるのか。今日は一緒に寝るか?」


 「ティナ陛下。そのような事は」


 「ロレーナ。気にするな。リアティナがティファナを気に入ったようだ。逆に一緒に寝かせてもらえないだろうか?」


 「恐れ多い。何かしたら取り返しがつきません」


 「案ずることは無い。お互い赤子同士、何も起きはせんよ。見てみよ。ティファナもまんざらではない様だぞ」


 「もう、ティファナ。厚かましいですよ。それではリアティナ様宜しくお願いいたします」


 「テト。リアティナとティファナは一緒に寝る。寝具の用意を頼む。メデスも頼むぞ」


 「畏まりました」


 扉の外から。


 「昼食のご用意が整い、皆さまもお戻りなり、お揃いになりました」


 「わかった。暫くしたらいく」


 「畏まりました」


 「皆の者。待たせてすまない。実は本日、皆がこのままここへ泊って行くように手配した。今夜も宴とし、少しだが酒も用意しよう。あとノーデスの屋敷のメイド達よ、今から明日の朝食後まで休暇とする。こちらにすべて任せよ。わからぬことは側仕えに聞いてくれ。詳細は各々打ち合わせよ。昼食にしよう」


 「了解です」




 風呂と夕食を済ませたティナとロレーナ達はティナの部屋でくつろいでいた。


 リアティナとティファナは一緒のベッドで寝ていた。


 定期的にテトとメデスが入れ替わりで確認していた。そしてテトが。


 「ティナ陛下。リアティナ様とティファナ様をご覧ください」


 「どうしたテト。微笑みが炸裂しているぞ」


 「はい。とても微笑ましいです」


 「どれどれ」


 ティナとロレーナがベッドを覗きこんだ。


 リアティナとティファナが手を繋いでほほ笑みながら寝ている。


 ティナが小声で。


 「どうだロレーナ。我が言った通りになったではないか。めちゃくちゃ微笑ましいぞ」


 「はい。リアティナ様にお友達として認めて頂けたのでしょうか?」


 「間違いなだろう。良かったなリアティナ。お友達が出来て。我も嬉しいぞ」


 「私の方こそ、ありがとうございます。リアティナ様。これからもティファナを宜しくお願いいたしますね」

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