第2話
なぜこんな運命になったかといえば、思い当たることがないでもない。人間だった頃、私は他者からの評価に固執し、拘束されるあまり、自らの意思を主張できなかった。皆は、私を静かだ、閉鎖的だと言った。元来、私は他者に興味がなかった。今思い返すと、友人のことさえ思い出すことができない。踏み込もうもは思わなかったのだ。それでも、私は他者に負の感情を抱かれることを何よりも恐れ、その上、他者に負けることが何よりも腹立たしかった。つまり、私は他者に興味がないにも関わらず、評価に右往左往し、過剰な自尊心を持つ中途半端な人間だったのである。それは、私の優越意識の低さが原因であろう。「鏡」と名のつく歴史書があるように、鏡には忠実に物事を写し出す性質があると聞く。その鏡となり、自らを見直せということなのかもしれない。きっとこれは当然の罰なのだ。そう考えるほかなかった。どうしようもない悔いが胸を覆った。
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