鏡裏幻影

@komichi_

第1話

ある朝目覚めると、私は見知らぬ場所に居た。有象無象が目前を通り過ぎていった。時折、顔を近づけてくる者も居る。かなりの時間が経ち、私は自身が鏡になっていると気がついた。本当はこんなことがあっていいはずがない。しかし、恐ろしいことに目覚めて直ぐも、今も、冷静にこの状況を受け入れていた。そして、不思議にも、かつて人間だった記憶も、苦悩も、まだ心の中に深く根付いているのである。

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