375_第六感は信じるべきか? 無視するべきか? #直感

「イギリスの作家であり医師であるサミュエル・スマイルズは『自助論』にて『高度な事業に携わる人は、それらに加えて直感的な智恵が要求される。それは天賦の才能と言われているが、観察と経験によって成長させることもできる』と記しています。直感は努力と訓練で成長できるみたいです」


「やっほー、人生に役立つ知識をお届けする世界一の美女サクラです! 今回は『第六感は信じるべきか? 無視するべきか?』のお話です」


「では、よろしくお願いします」


「読者様には前回、第六感が発生するメカニズムについてお話ししました」


「その際、発生のメカニズムであって、第六感に従うかどうかは別、ということも話しました」


「それじゃあ、第六感の意味がないじゃないか、という意見が聞こえて来そうなので、今回は信じていい第六感についてお話ししたいと思います」


「読者様の第六感が正しいのか間違っているのかは、時と場合によります。信じていい第六感の条件についてお話しますよ」


「今回の参考文献はノーベル賞も受賞しているアメリカの行動経済学者ダニエル・カーネマンのお話となっています。有意義な内容がたっぷりとなっていますよ」


「カーネマンによりますと、信じていい第六感の条件は3つあると言います」


「一つ目は、規則性があること」


「二つ目は、多くの経験」


「三つ目は、即時フィードバック」


「以上の三点に当てはまる場合に発生した第六感なら、従っても問題ないのです」


「それぞれを詳しく見ていきましょう」


「まず、規則性があること。第六感と言えども、無から有を生み出すわけではありません」


「前回お伝えした通り、第六感は過去の状況と現在の状況を比較して、違いがある場合に起こります」


「規則性があることによって、たとえ小さな差異でもそれだけが大きく見えるようになります」


「たとえば、リンゴがたくさん入っている箱の中に一つだけ、ミカンが入っていたら、ミカンが目につくと思います」


「リンゴという規則の中にある、ミカンは違和感でしかありません」


「規則性がある中での小さな違和感となりますので、第六感が信じられるのです」


「規則性がない場合、箱の中にはリンゴもミカンもブドウもバナナもメロンも入っています。その中から、どれが仲間外れか選ぶのは難しいです」


「法則のない世界では、第六感は信じてはなりません」


「カーネマンは、株を直感で選ぶと失敗する、とも言っています」


「株式市場は第六感を育めるほど、規則正しく動いていません」


「以前と似たような値動きをしても、サンプル数が少なすぎます。第六感を信じられるほど、磨かれないのです」


「読者様も、株を購入する際は論理的に分析して選んでください」


「続いて、多くの経験」


「第六感は超能力でも魔法でもありません。ただの過去との比較です」


「つまり、鍛えれば鍛えるほど、第六感は磨かれるのです」


「スポーツは、何度も繰り返し練習することで上手になります。これは、第六感も同じです」


「経験が増えれば増えるほど、サンプル数も増えるので差異にも気づきやすくなります」


「危機的状況を一回しか経験していない人と、危機的状況を10回経験した人、どちらが頼れるか、という話です」


「同じ状況を何度も経験している人のほうが、的確に対処できるのは当然でしょう」


「だから、読者様もたくさん第六感を使いましょう。どんどん磨かれますよ」


「最後に、即時フィードバック」


「いくら第六感を使っても、結果を知らなければ意味がありません」


「宝くじと同じです。宝くじを購入しても、結果を確認しないと当選しているかは分かりません」


「第六感に従った後に、結果を確認しないと、当たったのか外れかのか分かりません」


「結果が伴わない第六感は経験とはなりません。ただ使っただけです」


「第六感は使うだけでは磨かれないのです。結果を得て、反省したり、次に活かすことで第六感は育ちます」


「正解と失敗を覚えることで、段々と第六感の正答率が上がるのです」


「カーネマンは直感を信じていいケースの具体例として、夫婦の会話とチェスプレイヤーを上げています」


「夫婦は電話越しでも、一言聞くだけで相手の機嫌を察知することができます」


「これも第六感です。たった一言では推論を働かせるには短すぎます。ですが、夫婦なら可能です」


「それは、何度も経験しているからです。機嫌がいい時、悪い時のことを知っていますし、何度も電話をすることで規則性も見出だせます。それに、会話をしていればフィードバックも得られます」


「3つの条件に当てはまるから、夫婦の会話は第六感で判断しても当たるのです」


「チェスのプレイヤーも同じです。チェスにはルールという名の規則があります。繰り返しプレイしていると何度も同じような盤面を経験します」


「それに何より、チェスは良手と悪手、勝ち負けがあり、フィードバックを得られます」


「3つの条件に当てはまるのでチェスのプレイヤーも第六感を信じていいのです」


「要するに、その道のプロの第六感は信じていいのです」


「ルールの中で生き、何度も繰り返し、結果を得る、これらを学んだ場合の第六感は信じられるのです」


「読者様、第六感を信じていいのは、自分がそのことに詳しい場合です」


「読者様が同じ業界で、10年20年と働いているなら、その業界で起こった第六感は信じて問題ないです。経験があるので当たります」


「ですが、初めて飛び込む世界で起こった第六感は信じてはなりません。経験がないので、見当違いな結果になります」


「第六感ってのは、ただの経験の積み重ねでしかない、という所で今回のまとめです」


「行動経済学者ダニエル・カーネマンによると、第六感を信じていいのは、規則性があること、多くの経験、即時フィードバックの3つの条件が揃っている時だよ」


「つまり、その道に詳しいなら第六感を信じていいよ。でも詳しくない場合は信じちゃダメだよ。覚えておいてね」


「読者様が第六感を頼りにする際に、自信を見ると思います。ですが関係ありません」


「自信は根拠になりません。自信満々な人に流されてはなりません」


「判断すべきは今まで積み重ねた経験です」


「読者様が第六感に頼らざるを得なかったら、自信ではなく、積み重ねた経験で判断しましょう」


「第六感を自信満々に答える人より、自信はなくても経験がある人の第六感のほうが当たりますよ」


「読者様にもダンジョンで遭難する機会があると思います。その際、右に進むか左に進むかの判断は自信で決めないでください」


「自信満々に答える素人より、自信がなくてもダンジョンに詳しいプロの第六感を頼りましょう」


「まあ、詳しい人のほうが当たるのは当然ですよね。え? 『そんなことより、ダンジョンで遭難することなんてない』ですか。分かりませんよ。人生には何が起こっても不思議ではありません」


「昨今の異世界転生ブームを考えると、読者様がダンジョンで遭難する確率はゼロではありません」


「知識はいつどこで使うのか分からないですから、覚えておいて損はないですよ」


「ということで、今回は『第六感は信じるべきか? 無視するべきか?』のお話でした。読者様の人生の潤いになれば嬉しいです」


「最後まで、ありがとうございました。高評価、コメント、お願いします」


「読者様の『あれが知りたい』というリクエストも受け付けてます!」


「次回の『【意外かも!?】締め切りは設定しないほうがいい』で、会いましょう!」


「やるぜ、知識の宝物殿。バイバイ」



参考文献

Daniel Kahneman: Your Intuition Is Wrong, Unless These 3 Conditions Are Met

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