323_本番でミスした時、何をすればいいのか? #緊張 #不安

「『ふだんから本番のように、本番はふだんのように』という有名なフレーズの原典を知ってますか? これは、江戸時代の剣術家・宮本武蔵の『五輪書水の巻』に書かれている言葉です」


「やっほー、人生の悩みが解消しているに違いない読者様。知ってて損のない知識を配達している世界一の美女サクラです! 今回は『本番でミスした時、何をすればいいのか?』のお話です」


「では、よろしくお願いします」


「読者様は本番で本来の実力を発揮できますか?」


「読者様の中には、一つのミスがきっかけですべてが台無しになった経験を持つ人もいることでしょう」


「ミスが不安と焦りを呼び、さらなるミスに繋がる。何をやっても上手くいかない。そんなにっちもさっちもいかない状態に追い込まれことがあるかもしれません」


「ですので、今回は本番でミスを起こしても、問題なく乗り越える方法を紹介したいと思います」


「本番でガチガチに緊張して、ミスしまくる読者様の助けとなれば幸いです」


「参考にするのは、東京にあるソニーコンピュータサイエンス研究所の研究です。あのソニー系列の研究所です」


「研究者は二つの実験を行って、本番でミスを犯してしまう理由を探りました」


「どちらの実験もピアニストを対象にしたものです」


「対象となったピアニストは、そんじょそこらの素人ではありません。8歳未満でピアノを習い始めて、10000時間以上の練習をしていることが条件でした」


「要するに、ピアノを弾き慣れている人を対象にしました」


「それでは、実験内容を紹介します」


「一つ目の実験は、11人のピアニストを対象に、ストレスを与えながら行いました」


「ピアニストは、曲を弾くのですが、その際に研究者が横に立って、演奏を評価していました」


「評価するだけでなく、カメラも回して、映像を撮影していました」


「また、ピアニストはメロディーを聞きながら演奏するのですが、メロディーの一部に遅延が発生するようにしました」


「要するに、ミスを誘発するようにしたのです」


「ピアノに慣れているので、こうでもしないとミスしないんですね」


「二つ目の実験では、30人のピアニストにピアノの練習をしてもらいました」


「普通の練習するのでは実験にはなりません。少し特殊な環境で練習をしてもらいました」


「特殊な環境とは、ピアノの音がわずかに遅れる、というものでした」


「ピアニストを二つのグループに分けて、片方には『音の遅れを無視してください』と、もう片方には『音が遅れたら遅れた分を取り戻してください』とそれぞれ指示を出しました」


「この指示によって、ミスをした時の状況が再現できます」


「本番でミスをした時、取れる選択肢というのは少ないです」


「ミスを取り戻すか、ミスを無視するか、です」


「つまり、指示を出すことによって、ミスをした時にミスにどう立ち向かえば最善なのか判明するのです」


「さて、読者様はミスを取り戻すのと、ミスを無視するのでは、どちらが効果的だと思いますか?」


「ミスを無視したら、ミスが気がかりになって、演奏に集中できないのでしょうか?」


「それとも、ミスを取り戻したら、自信も取り戻して、よりよい演奏になるのでしょうか?」


「はたして、どうなのでしょうか?」


「まず、一つ目の実験の結果ですが、当然ストレスが多いとミスが多くなりました」


「また、ストレスを強く感じているピアニストほど、演奏の正確性が損なわれていました」


「ミスがミスを生む、という悪循環に陥っていました」


「とまあ、ここまでは分かりきったことです。ストレスやプレッシャーが強いほど、ミスが増えるのは当たり前です」


「問題は、ミスを無視したグループとミスを取り戻したグループです」


「分析の結果、ミスを無視したグループは正確な演奏ができていました!」


「本番でミスしても、気にしないのが肝心です」


「どうやら、ミスを取り戻そうとすると、ミスに過剰に反応してしまい、余計にミスが増えるのです」


「焦りが焦りを呼び、不安な気持ちがどんどん膨れ上がるのです。一度犯したミスは取り戻せないのです」


「ミスを無視すれば、それっきりです。ミスがミスを呼ぶ悪循環は発生しません」


「だからこそ、ミスしても無視を決め込むのが大事なんです」


「読者様も本番でミスしても、全部を台無しにしないために、練習の時からミスを無視するようにしましょう」


「練習でミスしても、いちいち気にかけないでください。ミスしても、さらりと流してください」


「練習でもミスを気にしていたら、本番でもミスが気になります。ミスが気になったら、そこからは落ちるだけです」


「一度落ちたら、這い上がることはできません」


「暗闇の大穴に落ちる前に踏みとどまりましょう。引きずり込まれたら脱出は不可能です」


「もし、読者様が『本番でミスなんてしないよ』と満点の自信があるようでしたら、関係ありません」


「ミスしなければ、関係ない話ですから」


「ですが、本番でミスした経験があるのなら、ミスを無視する練習をしておきましょう」


「本番という名の魔界に住む魔物に足を引きずられないように……」


「ということで今回のまとめです」


「ピアニストを集めて、ピアノを弾いてもらったよ」


「当然だけど、ストレスの多い環境ではミスが増えたよ」


「そこで、ピアニストに曲を弾いている時にミスをしたら、ミスを無視して、ミスを取り戻して、という指示を与えたよ」


「すると、ミスを取り戻そうとしたグループは、ミスがどんどん増えちゃったよ。ミスがミスを呼ぶ悪循環だったよ」


「ミスを無視したグループは、ミスが増えなかったよ。ミスを断ち切っていたよ」


「つまり、本番でミスした時は、ミスしたことを忘れるのが大事だよ」


「普段の練習から、ミスを気にしないようにしようね」


「ただでさえ本番で緊張しているのに、そこにミスを取り返すのなんて不可能な芸当です」


「100%で挑んでいるのに、どこからミスを取り戻す力が出てくるのか、って話です」


「余力なんてないですから、ミスを取り返すのは不可能な話です。ミスを取り返そうとすると、どこかで無理をしなければなりません。それがミスがミスを呼ぶ、悪循環の正体でしょう」


「読者様もミスが気になるのは仕方ないと思いますが、ミスを気にする方が損ですよ」


「ミスをしたら、気持ちをすぐに切り替えましょうね。反省するのは、本番が終わってからです」


「ということで、今回は『本番でミスした時、何をすればいいのか?』のお話でした。読者様の人生の潤いになれば嬉しいです」


「最後まで、ありがとうございました。高評価、コメント、お願いします」


「読者様の『あれが知りたい』というリクエストも受け付けてます!」


「次回の『35歳が仕事のターニングポイント』で、会いましょう!」


「もしくは、読者様が気になるお話でもいいですよ。目指せ、知識の宝物殿。バイバイ」



参考文献

Back to feedback: aberrant sensorimotor control in music performance under pressure

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