320_お金で買うには高すぎる自制心 #お金 #自制心

「イギリスの経済学者ジョン・メイナード・ケインズの言葉を紹介します。『我々は一般的ルールに従うという、我々に課せられた個人的責任をまったく拒否した。我々は個々のケースを、すべてその功罪に応じて判断する権利を主張し、また立派に判断できる知恵と経験と自制心を備えていると主張した。これは我々の信条のなかでも非常に重要な部分であり、強引に喧嘩腰で主張した点であった』」


「やっほー、人生の悩みが解消しているに違いない読者様。知ってて損のない知識を配達している世界一の美女サクラです! 今回は『お金で買うには高すぎる自制心』のお話です」


「では、よろしくお願いします」


「読者様は何かを我慢しなければいけない時、いくらまでならお金を支払いますか?」


「我慢なんて心の持ちようだから、お金なんて支払わないという意思の強い読者様はいますでしょうか?」


「しかし、意思の強い人は激レアです。ほとんどの読者様は誘惑に弱いと思います」


「目の前にぶら下げられたニンジンに飛び付いてしまうのが、人間なんです」


「かくいう、私も目の前のものを我慢するのはしんどいです」


「アメリカのニューヨーク大学は、どれくらいの金額まで我慢のためにお金を支払うのか調べてくれました」


「今回のお話を聞けば、いかに自制心のコストが高いか判明しますよ」


「研究者は128人を集めて、複数の実験を行いました。平均年齢は24歳、女性は84人でした」


「集められた人には共通点がありまして、全員がダイエット中です」


「そんなダイエッターに何をしてもらったのかと言いますと、我慢です。目の前に置かれたスイーツを我慢する実験を行いました」


「被験者には事前に食事を摂らず、空腹になるように指示がありました。その上でスイーツを30分間我慢させたのです」


「そして、『目の前からスイーツをどかすために、いくらまでお金を支払いますか?』と問いかけたのです」


「要するに、我慢しなければならない状況を作り出して、そのためにお金をいくら支払うのか確認したのです」


「この実験によって、自制心の値段が判明します。とても、面白い実験なんですよ」


「まあ、被験者は空腹な上に、スイーツを我慢させられるので、かなり大変でしょうが…………私の知ったこっちゃありません」


「被験者の気持ちは無視して、読者様は自制心の値段はどれくらいだと思いますか?」


「100円くらいでしょうか? 500円くらいでしょうか? それとも1000円でしょうか?」


「ダイエットを完遂するには、もっともっとお金が必要なんでしょうか?」


「結果は、被験者はスイーツを我慢するために、10ドルのお金を支払いました!」


「実験が行われた当時のレートで日本円に換算すると1100円くらいです」


「いやはや、スイーツ1個を我慢するのに、多大なコストがかかることが判明しました」


「しかも、スイーツが好きな人ほど、高い金額を払うことも確認されました。好きゆえに、強い我慢を強いられるのです」


「読者様はこの値段が高いと思いますか? それとも安いと思いますか?」


「高いと感じているなら、自制心が強いかもしれません。安いと感じているなら、自制心が弱いかもしれません」


「ちなみに、この実験では22%、つまり5人に1人は我慢できずにスイーツを食べてしまいました。残念。ダイエットは遠い夢ですね」


「研究者は、被験者に報酬を与えたら、どうなるのかも調べました」


「内容は先程の実験とほぼ同じです。違うのは、我慢できたら、15ドルを支払うと追加したことです」


「要するに、スイーツを我慢できたら、お金をあげる、ということです」


「その結果、被験者は我慢するために多くのコストを支払うことを示しました」


「平均して、2ドル以上多く支払うことが確認できました」


「つまり、報酬があるのなら、人はコストを多く支払うことが判明しました」


「次に、研究者は被験者にストレスを与えるとどうなるのか調べました」


「一般的にストレスがあると自制心が弱くなります。ストレス下では、より多くのコストが必要になると考えたのです」


「被験者には、スイーツを出す前に腕を氷水に3分間浸してもらいました」


「冷たーい冷たーい氷水に手を入れることでストレスを与えたのです」


「ちなみに、心理学の世界では、氷水に手や足を浸けて、ストレスを与えるのはよく行われます」


「ストレスを与えた結果、被験者はただ我慢させる時より、平均して3ドル以上多くのコストを支払うことが確認されました」


「やはり、ストレスは自制心を殺してしまうのです」


「しかも、主観的なコストは2倍以上に感じていました」


「金額的にはそこまで大きな差はありませんが、本人的には多大な労力が必要になっていました」


「ちなみに、被験者の23%は我慢できずにスイーツを食べました。ストレスでやけ食いしたのでしょう、仕方ないです」


「最後に、ストレスと報酬の両方を与える実験も行いました」


「しかし、報酬だけを与えた時と同じような結果しか観察されませんでした」


「要するに、ストレスや報酬を与えると自制心が弱くなるじゃん、という所で今回のまとめです」


「研究者は、ダイエット中の人を集めて、スイーツを我慢してもらう実験を行ったよ」


「すると、人はスイーツを我慢するために、10ドル以上もお金を払うつもりだったよ」


「ストレスや報酬を与えると、我慢するためのコストが増えることも確認できたよ」


「なんだかんだ実験を行いましたが、言いたいことは一つだけですーー」


「人の自制心は、弱い!」


「簡単に誘惑に負けてしまいます」


「何かを我慢するというのはとても労力が必要です」


「目の前にあるものを我慢するのはとてもつらいです」


「なので、買わない、触らない、見ない、を徹底しましょう」


「目の前になければ、案外何とかなります」


「誘惑を我慢するより、誘惑から遠ざかるほうが簡単です。自制心に頼るのは愚かの極みです」


「ということで、今回は『お金で買うには高すぎる自制心』のお話でした。読者様の人生の潤いになれば嬉しいです」


「最後まで、ありがとうございました。高評価、コメント、お願いします」


「読者様の『あれが知りたい』というリクエストも受け付けてます!」


「次回の『スマホ中毒の正体は情報中毒かもしれない』で、会いましょう!」


「もしくは、読者様が気になるお話でもいいですよ。目指せ、知識の宝物殿。バイバイ」



参考文献

Quantifying the subjective cost of self-control in humans

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る