321_スマホ中毒の正体は情報中毒かもしれない #スマホ #情報
「ウィーン生まれの経営学者ピーター・ドラッカーは『知識労働者が生産するのは物ではなく、アイデア、情報、コンセプトである』と言いました。創造しない労働者は三流ですよ」
「やっほー、人生の悩みが解消しているに違いない読者様。知ってて損のない知識を配達している世界一の美女サクラです! 今回は『スマホ中毒の正体は情報中毒かもしれない』のお話です」
「では、よろしくお願いします」
「読者様は無意識のうちに、ついついスマホに手を伸ばしていた経験はありませんか?」
「え? 『しょっちゅうある』ですか。そうですよね、私も何度もあります」
「世間一般ではスマホ中毒なんて言われたりしますが、もしかしたら、それはスマホ中毒ではなく、情報中毒かもしれません」
「無意識に知らない情報を集めるため、スマホを触っている可能性があるんです」
「どうです? ちょっと面白そうではありませんか?」
「ということで、今回はアメリカのカリフォルニア大学バークレー校の研究を参考にお話しします」
「研究者は37人を集めて、ゲームをしてもらいました。ゲーム中に何が起こっているのか確認するため、プレイ中はfMRIを使って脳をスキャンしていました」
「被験者がしていたのはただのゲームではなく、ギャンブルの一種、ルーレットでした」
「当たる場所にお金をかければ、倍率に従ってリターンがありあます。外せば、当然没収です」
「被験者はギャンブルに挑戦する前に、情報を買うことができました」
「その情報とは、ギャンブルを有利にする情報です。どれが当たりやすいか、みたいな情報です」
「ただし、情報もピンキリです。使えそうな情報もあれば、価値のなさそうな情報もありました」
「読者様なら情報は買いますか? 買いませんか?」
「おそらく、使える情報なら買う価値があるでしょう。リスクとリターンを計算して、情報を買うかどうか決めるはずです」
「無価値な情報なんて買っても意味がないですからね」
「実際その通りでした。被験者は基本的に情報に価値がある場合にのみ情報を買っていました」
「合理的な判断に基づいて、情報の取捨選択をしていました」
「ですが、話はここで終わりではありません。ある条件を満たすと、被験者の多くが価値のない情報まで買うようになっていたのです」
「それはーー賭け金が大きくなった場合です!」
「被験者は賭け金が大きくなればなるほど、無駄な情報まで買うようになっていました」
「人の判断は相対的に行われます」
「たとえば、1000円や2000円でシャツが売っている中に、5万のシャツが売っていたら高いと感じます」
「しかし、200万円の車を購入している時に、オプションのカーナビが5万円なら安いと感じます」
「どちらも同じ5万円なのに、感じ方が変わるのです」
「物事が大きくなれば、小さいことを気にしなくなる性質が人には備わっているのです」
「そのため、賭け金が大きくなると、価値のない情報も安く感じて、購入に至るのです」
「全体が大きくなれば、小さなことが見逃されてしまう典型ですね」
「読者様もプロジェクトが大きくなって、小さなミスを見逃した経験はありませんか? 大きくなった時こそ、小さなことに気を配らないといけませんよ」
「要するに、ギャンブルで賭け金が大きくなると合理的な判断ができなくなる、ということです」
「恐ろしや恐ろしや」
「研究はこれで終わりではありません。ここまでは、被験者を外から見た結果です」
「今回の実験では被験者の脳をスキャンしています。その結果が残っています」
「被験者の脳を確認した所、情報を吟味している時、線条体や前頭前皮質の腹内側部が活性化していることが判明しています」
「それぞれの役割は、線条体が依存症と関係しており、前頭前皮質腹内側部は理性を司っています」
「要するに、情報を吟味している時、人は依存症になっています。さらに、人は新しい情報に触れると、理性を失います」
「理性を失わせて、依存させる、それこそが新しい情報なんです」
「この新しい情報こそがスマホ中毒の正体なのかもしれません」
「新しい情報というのは知らない情報と同義です。スマホには未知の情報の宝庫です」
「SNSでは毎日のように知らない情報が投稿されます」
「常に新しい情報を求めて、依存症に罹った読者様が無意識にスマホに手が伸びているのかもしれません」
「また、毎日のようにスマホを触っていると、ちょっとくらいスマホを触っても気にならなくなります」
「物事が大きくなれば、些細なことが気にならないように、毎日スマホを触っていたら、5分10分は誤差みたいなものです。今一度、スクリーンタイムを見返しましょう」
「依存症にはたくさんの種類があります。ギャンブル依存症、薬物依存症、アルコール依存症、買い物依存症、ゲーム依存症、ネット依存症、恋愛依存症、など様々です。その中に新たに、情報依存症を加えてもいいかもしれませんね」
「新しい依存症を提案した所で、今回のまとめです」
「被験者を集めて、ギャンブルをしてもらったよ」
「その際、ギャンブルを有利に進める情報を買う機会を与えたよ」
「ほとんどの参加者は、情報に価値がある場合に情報を買っていたよ。合理的な判断だよ」
「でも、賭け金が大きくなるとどうでもいい情報も買っていたよ。物事が大きくなると、小さなことを気にしなくなっちゃったよ。合理性が失われていたよ」
「それだけじゃなく、脳をスキャンしてみたら、情報を吟味している時、理性を失って依存症になっていることが判明したよ」
「どうやら、未知の情報には依存させる素養があるみたい」
「もしかしたら、スマホ中毒の正体は、新しい情報を求める心だったのかもしれないよ」
「読者様も、未知の情報を示唆してみれば、いつも以上の反応を期待できるかもしれませんよ」
「人はいつだって、知らない情報を求めているのですから」
「情報そのものが報酬になることが、サルによる動物実験で確認されています」
「未知を既知にすることは、全人類共通の至福を得る手段なんでしょう」
「読者様もついついスマホに手が伸びても、あまり気に病まないでください。『自分は今、新しい情報を手に入れようとしている』と言い聞かせるといいと思いますよ」
「少なくとも『スマホで時間を無駄にした』と自分を責めるより、余程有意義です」
「失った時間は取り戻せませんが、過去を無駄にするか、有意義にするかは読者様の考え方で変えられます」
「ということで、今回は『スマホ中毒の正体は情報中毒かもしれない』のお話でした。読者様の人生の潤いになれば嬉しいです」
「最後まで、ありがとうございました。高評価、コメント、お願いします」
「読者様の『あれが知りたい』というリクエストも受け付けてます!」
「次回の『リズムゲームをプレイするも記憶力が改善するぞ』で、会いましょう!」
「もしくは、読者様が気になるお話でもいいですよ。目指せ、知識の宝物殿。バイバイ」
参考文献
Common neural code for reward and information value
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