303_勉強した後に勉強すると、確実に記憶に定着する #勉強 #記憶

「イギリスの哲学者であるジョン・スチュアート・ミルは自伝の中で『青少年期に大量の知識をひたすら叩き込まれると、考える力が養われず、逆に過剰な知識で損なわれやすい。生徒は断片的な事実だの人の言ったことや書いたことだのを次々に詰め込まれ、自力で考えずにそれらで代用するようになる』と記しています。何でもかんでも詰め込めばいい、というわけではありません」


「やっほー、人生の悩みが減っているに違いない読者様。知ってて損のない知識をデリバリーする世界一の美女サクラです! 今回は『勉強した後に勉強すると、確実に記憶に定着する』のお話をしまーす」


「では、よろしくお願いします」


「読者様には前回、効率のいい勉強法と効率の悪い勉強法についてお話ししました」


「ですが、効率のいい勉強法は模擬試験と分散学習の二つしかありませんでした」


「そこで、もっと効率のいい勉強法を知りたい読者様のために、別の意味のある勉強法についてお話できればと思います」


「活用できれば、テストが余裕になること間違いなしです。楽々合格するために覚えておきましょう」


「今回参考にするのは、アメリカのブラウン大学が行った研究です」


「読者様はオーバーラーニング、という言葉を知っているでしょうか?」


「日本語では過剰学習と言ったりもします」


「これは簡単に言うと、完璧に勉強した後も勉強を続けることです」


「読者様も勉強を続けていたら、『今、テストを受けたら100点満点余裕だぜ!』という状態になったことがあると思います」


「そんな完璧に勉強した所から、さらに追加で勉強することをオーバーラーニングと言います」


「勉強が終わっているのに過ぎて勉強するから、オーバーラーニングというわけです」


「そんなオーバーラーニングの効果について研究者が調べてくれたわけです」


「研究者は183人の男女を集めて、画像を記憶してもらいました」


「ガボール・パッチという線状の模様の画像を使用しました」


「被験者には画像を記憶できるまで、トレーニングをしてもらいました。そして二つのグループに分けました」


「一つ目のグループは、オーバーラーニングを行うグループ」


「二つ目のグループは、何もしませんでした。画像を覚えた時点で終了しました」


「二つのグループは30分の休憩を挟みまして、最初とは別の画像を記憶してもらいました」


「今度も先程と同じく、オーバーラーニングを行ったグループはオーバーラーニングを行い、何もしなかったグループは画像を覚えたら終了しました」


「そして、翌日に画像のテストを行って、二つのグループで記憶力の違いを調べました」


「読者様はオーバーラーニングは意味があると思いますか?」


「どちらのグループも万全になるまで記憶しています。そこからのダメ押しに効果はあるのでしょうか?」


「それとも、満杯になったコップに水を注いでも溢れてしまうように、追加しても意味がないのでしょうか?」


「テストの結果、オーバーラーニングは意味が…………ありました!」


「オーバーラーニングを行ったグループのほうが画像を記憶していました」


「オーバーラーニングを行っていると、先に覚えた画像の成績が大幅に高くなっていました」


「ただですね、後に覚えた画像の成績については奮いませんでした」


「どうやら、記憶の定着が済んでいなかったようです」


「というのも、オーバーラーニングを行っていると、記憶の定着が進むのですが、新しい情報を拒むようになるのです。脳が復習タイムに入って、新しいことを覚えるのにリソースを使わなくなるみたいです」


「そのため、後に覚えたものが完全に覚えきれなかったのです」


「そして、オーバーラーニングを行わなかったグループの成績ですが、先に覚えた画像の成績はてんでダメでしたが、後に覚えた画像については成績がそこそこよかったです」


「というのも、勉強した内容が定着する前に、新しい勉強を始めると、前の情報が上書きされてしまいます」


「そのため、先に覚えた画像の記憶が消されてしまい、後の画像の記憶しか残らなかったみたいです」


「オーバーラーニングにも弱点はありますが、総合的に考えるとオーバーラーニングを行ったグループのほうが成績はよかったです」


「では、どうすればオーバーラーニングの弱点の克服できるのか、研究者は追加で実験を行いました」


「実験の内容は、オーバーラーニングをした被験者とオーバーラーニングをしなかった被験者の脳を調べるというものです」


「被験者の脳をMRスペクトロスコピーというMRIの一種を使用してスキャンしました」


「スキャンするタイミングは勉強前、勉強から30分後、勉強から3時時間半後の計3回です」


「途中経過は省きますが、この実験結果から、オーバーラーニングを行ってから3時間半の休憩を挟めば問題ないことが判明しました」


「つまり、勉強する、完璧に覚える、オーバーラーニングをする、3時間半の休憩をする、また勉強する、というサイクルが最強ということです」


「え? 『3時間半の休憩は長い』ですか。そうですね、確かに長いです。ですが、安心してください」


「必ずしも休憩する必要はありません。新しく勉強をすると以前の知識が上書きされてしまうのですが、それは勉強の内容が似通っている場合に限ります」


「まったく違うジャンルの勉強なら、上書きは起こりません」


「要するに、英語を勉強、英語をオーバーラーニング、の後に休憩の代わりに数学や歴史に移行するれば問題ないのです」


「前回のお話でも分散学習がいいと言いましたよね。同じ科目の勉強を続けていると、自然と上書きされてしまいます。なので、適宜科目を変えるのがいいわけです」


「読者様はオーバーラーニングと分散学習のハイブリッドで、テストなんて余裕でクリアしてください」


「勉強時間が短くても成績がいい人がいるのは、こういったテクニックを使っているからです」


「読者様も要領よく生きましょう、という所で今回のまとめです」


「研究者がオーバーラーニングに意味があるのか調べたよ」


「オーバーラーニングってのは、もう勉強は十分という所から、さらに追加で勉強することだよ」


「調べた結果、オーバーラーニングには意味があったよ。でも、弱点があったよ」


「オーバーラーニングの弱点を克服するには、オーバーラーニングを行ってから3時間半の休憩が必要だよ」


「休憩じゃなくて、まったく違うジャンルの勉強でもいいよ」


「続けて、似たような勉強をするのがダメっぽい。気を付けてね」


「読者様には効率のいい勉強法を身に付けて、時間を有効活用しましょう」


「しかしですね、今回の研究は視覚の勉強を対象にしています」


「他の勉強にも有効なのか不明です」


「それと、オーバーラーニングの効果は4週間しか持続しない、という研究もあります」


「一度覚えたら安心、とはなりません」


「日々、勉強を続けていないと、せっかくのオーバーラーニングも無駄になります」


「毎日のコツコツが大事ってことです。目指せ、テストの余裕のよっちゃん」


「ということで、今回は『勉強した後に勉強すると、確実に記憶に定着する』のお話でした。読者様の人生の潤いになれば嬉しいです」


「最後まで、ありがとうございます。高評価、コメント、お願いします」


「読者様が『あれが知りたい』というリクエストも受け付けてます!」


「次回の『他人のそら似は生活習慣も遺伝子も似るらしい』で、会いましょう!」


「もしくは、読者様が気になるお話でもいいですよ。目指せ、知識の宝物殿。バイバイ」



参考文献

Overlearning hyperstabilizes a skill by rapidly making neurochemical processing inhibitory-dominant

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る