301_つまらない親父ギャグを科学的に面白くする方法 #言葉 #ユーモア

「イギリスのエッセイストのジョゼフ・アディソンは自ら創刊した『スペクテイター』にて『人間は笑うという才能によって他のすべての生物よりもすぐれている』と記しています。多くの哺乳類で笑うことが確認されていますが、種類については人がダントツに多いです。昔から、人の笑いは特別だったんですね」


「やっほー、人生の悩みが減っているに違いない読者様。知ってて損のない知識をデリバリーする世界一の美女サクラです! 今回は『つまらない親父ギャグを科学的に面白くする方法』のお話をしまーす」


「では、よろしくお願いします」


「読者様はテレビ番組を見ている時に、笑い声が追加されていることに気づいていますか?」


「え? 『知っている』ですか。そうですね、テレビ番組、特にバラエティ番組を見ていると、よくある光景です」


「このような笑い声を追加することを、録音笑い、もしくはラフトラックなんて名前がついています」


「この録音笑いですが、どうして存在するのでしょうか? 笑い声が追加されるとどのような効果があるのでしょうか?」


「ということで、イギリスのユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの研究者が録音笑いについて調べてくれました」


「一体どうなるのでしょうか?」


「研究者は、72人の被験者を集めて実験を行いました。集められた被験者はジョークを聞かされて、面白いかどうか評価しました」


「聞かされたジョークは、いわゆる親父ギャグの類いで、面白いものではありませんでした。笑ったとしても愛想笑いくらいです」


「親父ギャグが選ばれた理由は簡単です。面白くないからです」


「録音笑いの実験をするのに、面白いジョークを聞かせたら、元々面白いのか、それとも録音笑いの効果か判別が難しくなります」


「そのため、誰も笑わないような親父ギャグが選ばれました」


「そして、普通にジョークを聞いた場合と録音笑いが追加されたジョークを聞いた場合で、面白さに違いが出るのか調べました」


「しかし、これで終わりではありません。実は、録音笑いは2種類用意されていました」


「自然な笑いと不自然な笑いです」


「二つの笑いの違いは、違和感です。ジョークを聞いて、違和感のある笑いと違和感のない笑いで評価が変わるかどうか調べたのです」


「要するに、どんな笑い声でも効果があるのか調べたのです」


「さらに研究者は、用意周到です」


「被験者のうち24人は自閉症の人でした」


「というのも、自閉症の人は普通の人と笑いの回路が違うことが研究で判明しています。そのため、普通の人とお笑いの回路が違っていても効果があるのか確認したのです」


「ただの録音笑いの効果を調べる研究家と思いきや、実は様々なパターンを調べる研究だったのです」


「研究者に抜かりはありません」


「さて、長々とした説明が終わりました。読者様は録音笑いに効果があると思いますか?」


「また、あるとして、自然な笑いと不自然な笑いの両方で効果があると思いますか?」


「違和感を覚えると、評価が下がると思いますか? 一体どうなんでしょう?」


「結論を申しますと、録音笑いは効果が……ありました!」


「人は録音された笑いを聞くと、つまらないジョークでも面白いと感じるようになっていたのです」


「しかも、不自然な笑いでも効果が確認されました」


「つまり、視聴者に面白いと思ってもらいたければ、笑い声を足しとけばいいんです」


「それだけで高評価が増えるのです。動画編集をしている人は、是非、笑い声を追加してください」


「……あっ、こんなこと動画を編集している人には当たり前のことでしたね」


「言い直します。これから動画編集をする人は、笑い声を足してください。面白いと評判になること間違いなしです」


「凄腕クリエイターとして、引っ張りだこになりますよ」


「もちろん、自閉症の人にも効果が確認されました。老若男女問わず、笑い声を聞いているとつまらない親父ギャグも面白いと感じてしまうのです」


「まあ、バラエティ番組でも、たとえ笑い声が追加されてなくても、演者がよく笑っている番組は面白く感じます」


「面白い番組は笑いが絶えない番組、ということですね」


「ちなみにですが、不自然な笑いを聞いた場合、ジョークの面白さが10%上がっていました」


「自然な笑いを聞いた場合は15%~20%ほど上がっていたみたいです」


「どうやら、人は笑い声を聞くと、面白いことを言われた、と思うようです。同時に素直に笑っていい、とも思うようです」


「そのため、つまらない親父ギャグでも面白いと思うようです」


「つまり、人は周りに流されて面白いかどうか決めている、と言い換えることができる、って所で今回のまとめです」


「研究者は被験者につまらない親父ギャグを聞かせたよ」


「さらに、笑い声を足したら面白くなるのか調べたよ」


「すると、笑い声が足されているとつまらない親父ギャグでも面白く感じるみたい」


「どんな笑い声でも効果があるけど、不自然な笑いより自然な笑いのほうが効果が高いみたいだよ」


「しかも、自閉症という普通とは笑いの回路が異なる人でも効果が証明されたよ」


「誰でも、笑い声を聞くと面白いと感じるみたいだよ」


「読者様も動画編集する時は、笑い声をどんどん足そうね。もちろん、撮影時にたくさん笑うのもいいよ」


「読者様もつまらないギャグを言って、空気が凍りついた経験があると思います。そんな時は積極的に笑い声をあげましょう」


「そうしたら、場が和むはずです。……多分」


「ま、まあ、笑ってさえいれば、つまないものも面白く感じます。逆にいえば、つまらないものに愛想笑いで付き合っていると、面白いことを言った、と勘違いされる原因になります」


「本当につまらない親父ギャグを言う上司はガン無視しましょう。付け上がらせないのが肝心です」


「笑いはコミュニケーションツールの一つです。積極的に笑うことで、より良好な人間関係を築きましょう」


「ということで、今回は『つまらない親父ギャグを科学的に面白くする方法』のお話でした。読者様の人生の潤いになれば嬉しいです」


「最後まで、ありがとうございます。高評価、コメント、お願いします」


「読者様が『あれが知りたい』というリクエストも受け付けてます!」


「次回の『【学校では教えてくれない】意味のない勉強法と効率のいい勉強法』で、会いましょう!」


「もしくは、読者様が気になるお話でもいいですよ。目指せ、知識の宝物殿。バイバイ」



参考文献

Modulation of humor ratings of bad jokes by other people’s laughter

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