174_ジェスチャーは聞き手に多いに影響を与える【大事な身振り】 #話術 #言葉

「岩手県で生まれた作家の宮沢賢治は『人の心を本当に動かすにはその人の体験から滲み出る行いと言葉しかない。知識だけでは人は共感を感じないからだ』という言葉を残しています。単なる言葉だけでは足りないようです」


「やっほー、賢明なる読者様。読むだけで人生よくなる知識を提供する世界一の美女サクラです! 今回は『ジェスチャーは聞き手に多いに影響を与える』のお話をしたいと思います」


「では、よろしくお願いします」


「読者様は会話の際に身振り手振りを入れていますか?」


「いわゆるジェスチャーのことです。どうでしょうか?」


「え? 『特にしていない』ですか。そうですか。読者様の言葉が正確に伝わっていない可能性がありますよ」


「というのもですね、『ジェスチャーって、やっぱり大事だ』ということが明らかになったのです」


「今回の研究はドイツのマックス・プランク協会などの研究チームが調べてくれました。ちなみに、マックス・プランク協会はノーベル賞受賞者を37人も排出している、すごい組織なんですよ」


「さて、研究者がどのようなことをしたかと言いますと、ジェスチャーをしている話者の映像を見せました」


「映像には細工がしてありまして、話していることジェスチャーが一致している場合と一致していない場合がありました。一部では単語を強調するような場面もありました」


「被験者は映像を見た後、映像の内容についての質問に答えました」


「正しく認識しているのか? 話者が強調したかったのは何か? そんなことを質問して、ジェスチャーがどのような影響を与えたのか調べたのです」


「どうなったのでしょうか? 話している内容とジェスチャーが一致した場合、ジェスチャーにはどの程度の影響があるのでしょうか?」


「また、話している内容とジェスチャーが一致していなかったら、聞き手はどのような認識をするのでしょうか?」


「結果は…………ジェスチャーをしている部分を大切な話だと認識していました!」


「とはいえ、この結果は読者様も予想通りでしょう」


「より伝えたい部分では熱が入るので、その思いがジェスチャーに出るのは想像に難くないです」


「読者様もジェスチャーが大事なことは、理解していたと思います」


「読者様もジェスチャーを交えて話したこともあるでしょう。その時は、どうにか自分の意思を伝えたくて真剣になっていたことでしょう」


「また、ジェスチャーをしている人を見たこともあるでしょう。その時は、『この人は熱心に伝えようとしてくれている』と感じたはずです」


「では、一体ジェスチャーにはどれ程の効果があるのでしょうか?」


「その答えは……20%です!」


「そう、ジェスチャーがある場合、その部分を普通より20%も大事だと聞き手は思うのです」


「この結果はとてもありがたいですよ」


「本当に大事な部分でジェスチャーを使うと相手はより大事だと思ってくれます」


「強調したい部分をジェスチャーによって、ちゃんと強調できるのです!」


「大事なことを伝える上で、ジェスチャーは欠かせない動作なんです」


「もし読者様の中に『大事な話が伝わっていない』という思いがあるなら、それはジェスチャーが足りなかったのかもしれません」


「まあ、普段からジェスチャーをしすぎて、どこが大切なのか分からない状態でなければですが……」


「とにかくですね、大事な部分ではジェスチャーが大事です。忘れないでくださいね」


「それで、実験の中には話している内容とジェスチャーが一致していない場合もありました」


「さて、読者様はどう考えますか? 話とジェスチャーが違うことで頭は混乱するのでしょうか? それとも、内容が大事だから、ジェスチャーが違っていても気にしないのでしょうか?」


「結果はですね…………40%です」


「この数字が何の数字かと言いますと、間違って認識する割合です」


「そうなんです。話している内容とジェスチャーが不一致の場合、聞き手はとても混乱します。そのため、内容を間違って認識してしまうのです」


「いやはや、恐ろしい数字ですよ」


「もし、パンチの話をしているのにチョップのジェスチャーをしたとしたら、聞き手は『今話しているのはパンチだっけ? チョップだっけ?』と混乱するのです」


「読者様は相手を混乱させないために、話している内容とジェスチャーは一致させてくださいね。伝わるものも伝わらなくなってしまいます」


「逆に、相手を混乱させたい場合には内容とジェスチャーを一致させないことです。まあ、こんな悪用をするのは詐欺師くらいでしょう」


「詐欺師は情報を正しく伝えているにも関わらず、相手を誤解させるのが生業ですから。内容とジェスチャーで混乱させた後に、メリットの部分をジェスチャーで強調して、デメリットの部分はさらっと流します。こうして被害者が生まれるのです」


「後から、『詐欺だ』と追求しても、詐欺師はちゃんと説明しています。被害者の認識不足を指摘されるだけです。詐欺師を追い詰めることができず、のうのうと逃げられます」


「厄介な存在に引っ掛からないためにも、読者様はジェスチャーが与える影響について覚えていてくださいね」


「詐欺師のテクニックを紹介した所で今回のまとめです」


「いろいろなジェスチャーをして話している映像を見せて、ジェスチャーにどのような影響があるか調べたぞ」


「すると、ジェスチャーがある部分では、その単語を普通より20%も大事だと認識していたぞ」


「逆に話している内容とジェスチャーに齟齬があると、聞き手は40%も間違って認識するぞ」


「読者様もジェスチャーをする際には気を付けてね」


「後ですね、聞き手が間違って認識することをマガーク効果と言います」


「たとえば、『ガ』と言っている映像に『バ』という音を組み合わせると、聞き手は『ガ』でも『バ』でもなく、『ダ』と聞こえます」


「目と耳で感じ取った情報を脳内では統合して考えるため、元の言葉とは違う言葉で認識するのです。しかも、聞き手は映像と音声に矛盾があることに気づきません」


「もし、読者様が気になるのでしたら、動画を撮影して、編集すれば簡単に作れます。その映像を友達に見せたら、相手は引っ掛かってくれること間違いなしです」


「興味がある読者様はお試しあれ」


「ということで、今回は『ジェスチャーは聞き手に多いに影響を与える』のお話でした。読者様の知識になれば幸いです」


「お付き合いいただきまして、ありがとうございます。高評価や応援コメント、質問やリクエストも待ってまーす!」


「次回の『「えーっと、アレなんだっけ?」は伝染する』で、お会いしましょう!」


「もしくは、読者様が気になるお話でお待ちしております。バイバイ」



参考文献

Beat gestures influence which speech sounds you hear

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