173_【とても残念】ネコは甘味をまったく知りません #動物 #食べ物

「アメリカの政治家ベンジャミン・フランクリンは『私は知識を得たいと望んでいたが、知識は人と談話する場合でも、舌の力よりはむしろ耳の力によって得られると考えた。くだらない仲間に好かれるようになるにすぎない無駄口や地口や冗談などに浸る習慣を直したいと願った』と、雑談は無駄だと仰っているようです。……極論かな?」


「やっほー、賢明なる読者様。読むだけで人生よくなる知識を提供する世界一の美女サクラです! 今回は『ネコは甘味をまったく知りません』のお話をしたいと思います」


「では、よろしくお願いします」


「読者様は甘いものが好きですか?」


「え? 『大好き! 毎日食べる』ですか。確かに美味しいですよね」


「でも、毎日は食べ過ぎです。健康のためにもほどほどにしましょう」


「甘いものを毎日食べる人がいる一方で、まったく甘味を感じない存在がいるのを知っていますか?」


「読者様はそんな可哀想な存在について考えたことがありますか?」


「もし、甘味を感じなくなったと思うとゾッとしますよね。人生の楽しみの14%くらいはなくなると思います。……あっ、数字は適当です」


「しかも、甘味を感じない存在は私たちの身近にいます。読者様の中には一緒に暮らしている方もいるくらい身近です」


「さて、読者様はこの動物は何か、分かりますか?」


「正解は…………ネコです!」


「ネコにはまったく甘味を感じないことが判明したのです」


「甘味を知らないなんて人生損してます。いえ、ネコ生を損してます」


「このネコの可哀想な状況を調べてくれたのはアメリカのモネル化学感覚研究所です」


「今回の研究以前から、ネコの舌にある味蕾の数が少ないことが分かっていました」


「ネコの味蕾の数は400~500個と言われています。人間が5000~10000個ですから、いかにネコの味蕾が少ないかが分かります」


「味蕾があることによって、動物は五つの味を感じることができるのです。甘味、酸味、苦味、塩味、旨味、が基本の味です」


「最近では第六の味として、脂肪の味が協議されています」


「料理をする際には、五つの味のバランスを考えると一歩進んだ味になりますよ。覚えておいて損はないですよ」


「ちなみに他の動物の味蕾の数は、イヌは1700個で、ウシは20000~25000個です。ウシは人以上に味を感知することが出来るのですよ。知ってましたか?」


「とまあ、味蕾が少ないから、『ネコはあまり味を感じない生き物だろう』と言われてきました」


「今回の研究によって、推測が確定に昇格した形になります」


「研究者が何をしたかと言いますと、ネコのDNAを分析したのです」


「甘味を感じる遺伝子は既に明らかになっていまして、TAS1R2とTAS1R3という二つの遺伝子が関係しています」


「ネコのTAS1R2とTAS1R3を調べたら、甘味を感じるのかどうか判明する、という具合です」


「そして分析の結果、ネコには甘味を感じる機能はない、という結論に至りました」


「どうやら、ネコのTAS1R2遺伝子を構成する塩基配列のうち247の塩基対に欠損が見られました」


「甘味を感じる遺伝子に欠損があることで、ネコは甘味を感じないのです!」


「いやはや、興味深い研究ではありますが、ネコにとっては残念な結果でしょうか?」


「生まれてから甘味を感じないので、ネコからすれば、どうってことないのでしょうね。人が甘味を感じるから、残念に思うだけでしょうね」


「人の思いの押し付けであって、ネコからすればありがた迷惑かもしれません。知らなければ、存在しないのと一緒です」


「研究者はネコ以外も調べてまして、同じネコ科のトラ、チーター、ライオンも調べました」


「その結果はネコと同じでした。遺伝子に欠損がありました」


「ネコと同じくトラ、チーター、ライオンも甘味を感じることはありません」


「ネコ科は甘味を感じないっぽいです。ですが、安心してください」


「実は、アミノ酸を味わうことはできるのです」


「ですから、旨味を感じることはできるのです!」


「面白いですよね。ネコって甘味は知らないけど、旨味は知っているのです。ネコが喜ぶ食事は旨味たっぷりの料理だったのです」


「ネコが美味しそうに食事をしていたら、それは甘さを感じているのではなく、旨味を感じているのです」


「それじゃあ、飼っているネコのために『美味しい食事を作ってあげよう』とは思わないでください」


「必要な栄養素が人とネコではまったく違います。知識もないのに食事を与えると、体調を崩したり、病気になってしまいます」


「選ぶにしてもキャットフードから選んでください。一番なのは複数のキャットフードを買って、気に入ったものを与えることです」


「まあ、私が言わなくてもネコを思う飼い主なら、既に実践していることですよね。蛇足でした」


「ちなみに、甘味を感じない動物は他にもいます。ニワトリやナマズも甘味を感じません」


「興味深いのが、哺乳類の中で甘味を感じないのはネコだけだそうです」


「ハイエナやマングースのような肉食動物でも甘味を感じるのに、ネコだけは甘味を感じません」


「ここにネコの進化の秘密が隠されているのかもしれませんね」


「というのも、ネコは人と共存することで繁栄してきました。自ら人と交わることを選んだ動物はネコだけです」


「食料倉庫に忍び込むネズミを退治して、人から感謝される存在となりました。ネコはネズミを捕らえ、人は食料がネズミから守られる。まさしくWin-Winな関係でした」


「ウシやブタは人と共存していますが、家畜です。人が連れてきて、育てました。自ら選択したネコとは違います」


「狩猟採集時代では甘いものは大変貴重でした。甘味を作ることはできず、採取するのも稀でした」


「ネコは人と食事の好みが違うように進化したのかもしれません。ネコの味の好みが人と同じなら、食事を分け与えてもらえません。ネコが甘味を感じていたら、甘いものを欲しがっていたでしょう」


「すると、人とネコの食事がバッティングしてしまいます。そうなると、ネコは人から食事を奪う外敵に認定されます。いくら倉庫を守ってくれても、不利益が大きくなりすぎます」


「人が捨てたものや、不味いと感じるものを食べることでWin-Winの関係を継続するために甘味を捨てたのかもしれませんね」


「まあ、あくまでネコの進化については私の妄想ですが……」


「妄想を語った所で今回のまとめです」


「ネコは味蕾が少ないため以前から味をあまり感じないと言われていたよ」


「そこで研究者はネコの甘味に関する遺伝子を分析して、本当に甘味を感じないか調べたよ」


「すると、甘味に関する遺伝子に欠損が見られたよ。やっぱりネコは甘味を感じないみたいだよ」


「でも、旨味は感じるみたい。ネコも食事を美味しいと感じることはあるよ」


「人と同じように甘いものをあげたら喜ぶ、なんて勘違いはしないでくださいね」


「読者様もネコを飼っているなら甘いものに興味を示さないのは知っていると思います」


「たまに、甘いものを食べている姿が見られますが、甘味を感じていない可能性が高いです」


「食感であったり、好ましい匂いを感じ取っている可能性が高いです」


「まあ、本当に極稀に甘味を感じるネコちゃんもいるみたいですが、かなり珍しいです」


「基本的にはネコは甘味を感じません」


「ということで、今回は『ネコは甘味をまったく知りません』のお話でした。読者様の知識になれば幸いです」


「お付き合いいただきまして、ありがとうございます。高評価や応援コメント、質問やリクエストも待ってまーす!」


「次回の『ジェスチャーは聞き手に多いに影響を与える』で、お会いしましょう」


「もしくは、読者様の気になるお話でお待ちしております。バイバイ」



参考文献

Pseudogenization of a Sweet-Receptor Gene Accounts for Cats' Indifference toward Sugar

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る