165_料理は見た目で健康的がどうか判断される #食事 #健康

「日本最初の西洋哲学者である西周は著書『人世三宝説』の中で『三宝とは何たるやといふに、第一に健康、第二に知識、第三に富有の三つのものなり』と語っています。健康が一番だそうですよ」


「やっほー、人生よくなってるはずの読者様。タメになる情報をお届けする世界一の美女サクラです! 今回は『料理は見た目で健康的がどうか判断される』のお話をしますよ」


「では、よろしくお願いします」


「読者様は料理を食べる時に健康的かどうか気にしますか?」


「え? 『不健康より健康のほうがいいに決まっている』ですか。その通りですね。健康に勝るものはありません」


「ですが、読者様が健康的と思っている料理は……本当に健康なんですか?」


「ちゃんと中身を見て判断していますか?」


「というのもですね、南カリフォルニア大学の研究によると、料理が健康的か不健康かは見た目で判断していることが明らかとなったのです!」


「食材やら、調理行程やらは考慮されていなかったのです」


「読者様が健康的と思っているのは見た目に騙された結果なんです。ああ、恐ろしや恐ろしいや」


「これからは騙されないようにしてくださいね」


「それでは研究の詳細についてお話ししましょう」


「研究者はまず、800人の被験者に対し、インターネットで『綺麗な料理』と『汚い料理』の画像を提出するように呼び掛けられました」


「その呼び掛けの結果、たくさんの画像が集まりました。その中から、アイスクリームやオムレツ、サンドイッチなどの画像を選んだ被験者に対して、画像の食べ物の栄養は豊富でしょうか? 健康的でしょうか? という質問をしました」


「要は、選んだ画像の印象を聞いたのです」


「その結果、綺麗な料理に対して、『被験者は健康的で栄養がある』と回答していました」


「つまり、人というのは綺麗に着飾っているだけで、それを『いいもの』と判断するのです」


「読者様も桐の箱に入ったお皿と新聞紙に包まれたお皿では、前者のほうが高級だと思いませんか?」


「中身が何であれ、ガワさえ整っていたら人は簡単に騙されるのです」


「詐欺師も同じです。まるで騙すような見た目をしていません。だからこそ騙されるのです。まさか、あの人が騙すとは思わなかった、と」


「研究者はさらに実験をしています。今度は400人の被験者に『綺麗にスライスされたアボカドを乗せたトースト』と『アボカドを適当に乗せただけのトースト』の二枚の画像を見せて、それぞれについて評価してもらいました」


「評価項目は、味、健康的、自然、などです」


「結果は、おそらく読者様の想像通りでしょう。綺麗なほうが健康的だと評価されました」


「当然ですが、二枚の画像の栄養的な差はありません。同じ大きさのトースト、同じ量のアボカドを使っています。あくまで、違うのは見た目だけです」


「同じものを使っても、見た目が違うと評価がガラリと変わってしまうのです」


「この結果から、いかに見た目が大事か窺い知れます」


「研究者はさらに実験を重ねます。今までは綺麗な画像と汚い画像を見せて比べていました。ですが、次の実験では同じ画像を使って調べました」


「800人の被験者に、カップケーキやスパゲティ、アーモンドパンの画像を見せて、『これは綺麗な料理の画像です』もしくは『これは汚い料理の画像です』と伝えた上で、画像の料理を評価してもらいました」


「要は、綺麗もしくは汚い、という考えを植え付けた上で味や健康的かどうかを評価してもらったのです」


「第三者からすると、どちらも同じ画像なんだから、評価に大きな違いはでないだろう、と思います。ですが、結果はそうなりません」


「被験者は綺麗な料理と思っていると、健康的で美味しいもの、と評価をしていました」


「いやはや、思い込み一つで料理の評価が正反対となりました。料理というのは見た目も大事ですが、思い込みにも左右されるのが判明しました」


「さらに実験は続きます。学生に綺麗な形のピーマンもしくは歪な形のピーマンを見せて、『いくらなら買いますか?』と質問しました」


「賢い読者様なら、結果は見えてますよね?」


「そう、綺麗な形のピーマンに対し、より多くの金額を支払うことが判明しました」


「スーパーでも形の悪いものはB級品として、中身は同じでも安く売られていますよね。これは単純に同じ値段だと売れないから、という切実な理由があるのです」


「お店側のサービスではなく、お店側の商品を売るための戦略なんですよ。知ってましたか?」


「研究者によりますと、人の心の中には綺麗なものはいいもの、というバイアスがあるそうです」


「そのため、見た目が整っていれば、中身に関係なくいいもの、と考えてしますのです。その結果として、見た目に騙される、というわけです」


「うん、恐ろしいです。…………この結果は料理に限りませんよね。綺麗な人でも同様でしょう……」


「いやー、私もちゃんと中身を見抜く目を養いたいですよ。騙されたくないですから」


「同じ料理なら見た目が違っても、健康的かどうかは同じになる、と言い聞かせないといけませんね」


「料亭で出される天ぷらも居酒屋で出される天ぷらも、どちらもカロリーで考えたら、ほとんど同じでしょう。品種や産地で多少の違いがあれで、同じ食材なら大きな差にはなりません」


「味は違っても、健康的かどうかは一緒なんでしょうね。値段が高い=健康にいい、という図式は完全に成り立ちませんね」


「油をたっぷり使った料理でも、見た目に力を入れると健康的に見えてしまうのは本当に怖いです。飲食店が映えを狙う理由の一端を垣間見た気分です」


「さて、飲食業界の謎を解き明かした所で、今回のまとめです」


「綺麗な料理の画像と汚い料理の画像を見せて、それぞれの料理について評価してもらったよ」


「すると、中身に関わらず、綺麗な料理の画像は健康的だと評価されたよ」


「また、同じ画像でも思い込みがあると、同じ料理でも正反対の評価を下すよ。綺麗な料理と思い込めば健康的、汚い料理と思い込めば不健康、だよ」


「それに、行動にも表れるよ。綺麗な食材のほうがより多くの金額を支払ってでも買いたい、と思ってくれたよ」


「今回の結論は末恐ろしいことになりました。人は容易く見た目に騙される、ということです」


「読者様も見た目には気を付けてください。中には世にもつかない怪物が隠れているかもしれません」


「でも、気を付けるのは難しいかもしれません」


「人は年間で7000件の料理のポスターや広告を見るそうです。しかも、4分の3はファストフードの広告だそうです」


「私たちは綺麗な料理を見すぎています。既に頭の中ではファストフードは『別に不健康な料理ではない』と結論づけている可能性があります」


「案外、ファストフードが不健康だと思っていても止められないのは、ここに理由があるかもしれませんね」


「ということで、今回は『料理は見た目で健康的がどうか判断される』のお話でした。読者様の人生の潤いになれば嬉しいです」


「最後まで、ありがとうございます。高評価や応援コメント、読者様が知りたい情報のリクエストも待ってまーす!」


「次回の『メガネをかけたら成績が上がった』で、お会いしましょう!」


「もしくは、読者様が気になるお話でもいいですよ。バイバイ」



参考文献

Pretty Healthy Food: How and When Aesthetics Enhance Perceived Healthiness

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