158_人に見られていると過激になりやすい #感情 #行動

「ジッドゥ・クリシュナムルティの言葉をサクッと紹介しましょう。『学ぶとは何ものにもとらわれることなくものを観察し、見ることである。もしも蓄積された知識からものを見れば、そのような”見”は限られたものであり、そこには何ひとつ新しいものはない』と、ね」


「やっほー、賢明なる読者様。読むと人生が変わる知識を提供する世界一の美女サクラです! 今回は『人に見られていると過激になりやすい』のお話をしたいと思います」


「では、よろしくお願いします」


「読者様は人の視線が気になりますか?」


「注目を浴びると、練習以上の力を発揮できますか? それとも、萎縮して本来の力を発揮できませんか?」


「読者様はどっちなんでしょうね?」


「とはいえ、今回お話しする内容とは違うのですが……」


「今回はですね、人に見られていると過激になりやすい、ということをお話ししたい所存です」


「簡単に言いますと、人に見られながら行うと攻撃的になりやすくなるのです」


「どうですか? 少し意外ではありませんか? 人の目を気にして、気持ちを抑えそうなものなのに、今回の研究では逆の結果となりました」


「今回の研究を行ったのはオーストリアのザルツブルク大学です」


「研究者が何をしたかと言いますと、サッカーの有観客試合と無観客試合を比べて、選手に行動の変化があるのかないのか調べてくれました」


「対象になったのは、有観客試合が2018年~2019年の10試合。無観客試合は2019年~2020年の10試合です。合計20試合を比較しました」


「ASEB-Fというものがありまして、これは日本語では『サッカーの感情的行動の分析システム』と呼ばれます。そんな機械を使って分析しました」


「要は、機械を使って選手の行動や言葉を分析して、選手の言動の詳細を明らかにしたのです」


「その結果は先に述べた通り、人に見られながらプレーすると攻撃的になることが明らかとなったのです」


「無観客試合では有観客試合に比べて、相手チームの選手や審判に抗議をしたり、感情的になるのが19.5%も減りました」


「逆に言いますと、観客がいると相手チームの選手や審判に抗議しやすくなる、ということです」


「そう、人に見られていると、攻撃的になるのです!」


「もしかしたら、サッカーの試合なのでサービス精神が発揮されるのかもしれませんね。観客のためにパフォーマンスするというのは、考えれることです」


「さらに面白いのが、選手だけでなく審判も同じだったのです」


「審判も観客がいないと、選手に感情的になることが14.2%減っていたのです」


「サッカーの主役はもちろん選手です。ですが、今回の結果では、裏方である審判も観客の有無に影響を受けていました」


「つまり、どんな状況でも人に見られていると行動が変化するのが明らかとなったのです」


「審判には常に冷静な判断を求められます。ですが、審判も人の子です。選手と同様に人の視線の影響を排除できないみたいです」


「感情的になる回数だけでなく、時間も短くなっていました」


「選手、審判、スタッフすべてを含めた感情的な時間は、有観客試合では41分42秒でした。無観客試合だと27分9秒まで短くなっていました」


「まあ、回数が少なくなるので時間も短くなるのは必然ですね」


「いやはや、興味深い結果ですね。人に見られていると、いい一面を見せようと、いい子ちゃんを演じそうなものですが、結果は正反対です」


「というのもですね、サッカーの場合はサポーターが関係しているようです」


「相手チームと言い争いになると、サポーターが煽ったりします。そのため、選手は余計にヒートアップするみたいです」


「本人が気にしてなくてもサポーターが指摘することで、争いに発展することもあるでしょう」


「逆にサポーターがいないと、他の選手や監督に窘められて冷静になれます。野次も飛んでこないので、些細な争いの火種はすぐに鎮火してしまいます」


「結果として、感情的になる回数が減ったと思われます」


「研究者は感情的な言動だけでなく、成績についても調べています」


「その結果ですね、無観客試合のほうが成績がよかったのです!」


「具体的には、有観客試合だと10試合で28得点だったのに対し、無観客だと10試合で36得点となっていました」


「ちなみにリーグ全体の120試合だと、有観客が合計95点に対し、無観客だと114点でした。実に20%も多くゴールが決まっていたのです」


「ゴールの数は無観客だと増えましたが、ファウルの数は減りました。よりフェアプレーを心がけたのでしょう」


「サポーターがいないと、白熱した試合展開になりそうです」


「……あれ、サポーターが害悪って結論になったぞ?」


「サポーターがいると、感情的になるし、得点も減るし……いなくても、いい……?」


「ま、まあ、サポーターがいるからこそ、本来以上のパフォーマンスを発揮できる一面もあります。何より、サポーターの応援は選手の力になります」


「サポーターの大きな声が盛り上がりを演出してくれている一面もあります」


「サポーターは決して悪い存在ではありません」


「危ない、危ない。危うくサッカーファンを敵に回すところでした。ふぅ……」


「これ以上失言を重ねないうちに、今回のまとめとしましょう」


「サッカーの有観客試合と無観客試合を比較したぞ」


「すると、無観客試合のほうが感情的になる回数も時間も減っていたぞ」


「無観客試合のほうがゴールの回数が増えいていたぞ」


「人に見られていると、攻撃的になるから読者様も気を付けてね。人前に立っても普段と同じ言動を心がけてください」


「人に見られて、ついついサービスしないように平静を保ちましょうね」


「とはいえ、今回の研究は一つのチームを追った研究となります。普遍的な結果かどうかは不明です」


「しかし、人に見られると攻撃的になることは間違いない、と研究者は語っています」


「読者様も人に見られている、と思ったら深呼吸して落ち着いてくださいね。攻撃的になったら損しちゃいますよ」


「ということで、今回は『人に見られていると過激になりやすい』のお話でした。読者様の知識になれば幸いです」


「お付き合いいただきまして、ありがとうございます。高評価や応援コメント、質問やリクエストも待ってまーす!」


「次回の『勉強の効率をアップさせる睡眠の方法が判明した件』で、お会いしましょう」


「もしくは、読者様の気になるお話でお待ちしております。バイバイ」



参考文献

Analysis System for Emotional Behavior in Football (ASEB-F): matches of FC Red Bull Salzburg without supporters during the COVID-19 pandemic

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