153_お金持ちでも貧乏人でもお金の不正は等しく行う #お金 #不正

「ソクラテスの弟子であり、アリストテレスの師匠である古代ギリシャの哲学者プラトンは『良い判断は数値でなく、知識に基づく』と考えていたそうです。数字は信用ならないそうですよ」


「やっほー、読者様のプラスになる知識を提供する世界一の美女サクラです! 今回は『お金持ちでも貧乏人でもお金の不正は等しく行う』のお話をしたいと思います」


「では、よろしくお願いします」


「読者様はお金欲しさに嘘をついた経験がありますか?」


「え? 『子供の頃に……』ですか。まあ、一時の気の迷い、ということにしておきましょう」


「ですが、こうは思いませんか? お金がないから仕方ない、という風に」


「何が言いたいかと言いますと、お金で不正するのは貧乏人だけで、お金持ちはお金の不正はしない、ということです」


「お金に困っていない人が不正する理由はありませんよね。私も言いたいことはわかります」


「でも、本当にそうなのでしょうか?」


「今回の研究はそこを突いています。アメリカのレンセラー工科大学とテキサスA&M大学の行動経済学者が調べてくれました」


「まず研究者はグアテマラの孤立している、とある小さな村を訪ねました。この村はコーヒーを栽培していますが、貧しい村です」


「村人の稼ぎは一年で約1120ドルです。一日に直すと約3ドルとなります。かなり貧しい地域です。貯金もほとんどないでしょう」


「コーヒー豆というのは収穫時期が決まっています。9月の下旬から始まり、3月の上旬までとなります」


「つまり、収入があるのは一年のうち半分の期間しかありません。コーヒーが売れない時期はほぼ収入がありません」


「なら、コーヒーが売れない時に別の仕事をしたらいいとお思いでしょうが、そうもいきません」


「グアテマラの村はインフラが整っていません。そのため、隣の村に行くのも一苦労です。貧しいので車を買うお金もありません」


「しかも、銀行などの施設も近くにありません。お金を貯金するのも難しいのが現状です」


「何が言いたいかと言いますと、一年のうちで裕福な期間と貧しい期間を過ごす村人が多くいるのです」


「コーヒーが売れる時期は裕福になり、コーヒーが売れない時期はひもじい思いをするのです」


「貧しい村ですから、教育も行き届いておりません。小学校か中学校を卒業したのは63%で、高校を卒業したのはたったの9%しかいません。だけでなく、28%の人は正式な教育を受けていないのです」


「そんな村で一体何をするのかと言いますと、村人109人にサイコロを振ってもらうだけです」


「サイコロの出目を確認できるのは振った本人だけです。出目を確認ししたら、数字を報告してもらいます。研究者も出目を確認しませんので、自己申告が頼りになります」


「サイコロを振った人が超有利なゲームです」


「ただし、サイコロの出目によって貰える金額が変わります!」


「1が一番賞金が少なく、5が一番賞金が多いです。ただし、6が出た場合は賞金がありません」


「お金が欲しければ、嘘の報告をすることが可能です」


「この実験を裕福な時期と貧しい時期の二回行いました」


「つまり、お金に余裕がある時と、お金に困っている時で嘘の報告が増減するのか確認したのです」


「さて結果はどうなるのでしょうか? もし、村人全員が正直者ならそれぞれの出目はバラけます。それぞれの出目の確率は6分の1なので、16.7%になります」


「読者様はどうしますか? 振ったサイコロの出目が確認できるのは自分だけ。嘘をついてもバレません。そんな状況でお金欲しさに嘘の報告をしますか?」


「読者様の心の中の天使と悪魔はどちらが勝つのでしょうか?」


「さて、グアテマラの村人の結果ですが、多くの人が嘘の報告をしていました!」


「報告された数字で一番多かったのは5です。一番賞金が大きい数字が一番多かったのです。その報告数は50%以上です!」


「半数以上の人が最高額の賞金をもらったのです」


「実に期待値の3倍以上となります」


「逆にですね、賞金がもらえない6を報告した参加者はどれくらいだと思いますか?」


「嘘つきが多いから10%くらい? それとも、お金が欲求に抗える人は少ないから5%くらい?」


「なんと、びっくり! 6を報告したのは0人でした!」


「ゲームに参加した村人は必ずお金をもらっていたのです」


「いやはや、まさか0人とは思いもよりませんでした。何とも嘘つきの多い結果でしょうか」


「それともなんですか? グアテマラの村人はサイコロの出目を操作する特殊能力を持っているのでしょうか?」


「正直者が多くて、ロマンのある結果だったと言いたいのですか?」


「この実験では裕福な時期と貧しい時期の二回行っているのですが、どちらもサイコロの数字の報告に大きな差はありませんでした」


「つまりですね、お金があっても、お金がなくても、お金がもらえる機会があれば人は嘘をついてしまうのです!」


「それだけ、お金には魅力が詰まっているのですね。しみじみ」


「まあ、分からなくもありません。不正をしているのがバレないのなら、私だって嘘の報告をする可能性を否定できません」


「私とて清廉潔白を売りにしているのではありませんので、絶対に嘘をつかないとは言えません。これは言わなくてよかったですね」


「私の恥をさらした所で今回のまとめです」


「グアテマラの貧しい村のコーヒー農家に赴いて、サイコロの出目によってお金がもらえるゲームに参加してもらったよ。サイコロの出目を確認できるのは振った本人だけ、という安心安全の親切設計だよ」


「すると、一番賞金をもらえる5を報告した人が50%以上もいたよ」


「逆に賞金がもらえない6を報告した人は誰一人としていなかったよ」


「つまり、グアテマラの村人は、サイコロの出目を操る特殊能力を持っているか、嘘をついたかの二択だよ」


「さらに、裕福な時期と貧しい時期の二回で調査したけど、報告される数字に大きな差はなかったよ」


「人はお金があっても、お金がなくても、嘘の報告をすることが確認できたよ」


「お金の魅力に抗える人はあまりにも少ないです」


「お金持ちが税金逃れをしたり、お金に困っていない人がお金を騙し取る理由が、今回の研究で窺い知れます」


「お金に困っていないのに、どうして犯罪に手を染めたの? という疑問を持った読者様もいるでしょう」


「その答えは、お金が好きだから。という単純な理由かもしれませんね」


「ということで、今回は『お金持ちでも貧乏人でもお金の不正は等しく行う』のお話でした。読者様の参考になれば、私はとても嬉しいです」


「最後までお付き合いいただきまして、本当にありがとうございます。高評価や応援コメントはどんどんお願いします。質問やリクエストも待ってまーす」


「それでは、次回の『たった数秒で人の本性を見抜く』で、またお会いしましょう。バイバーイ」



参考文献

The effects of scarcity on cheating and in-group favoritism

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