152_運転中に電光掲示板を見ると事故が増える #事故 #思考

「今回は自動車会社フォードを創業したヘンリー・フォードの言葉を紹介します。『本能は、後年のために蓄積された過去の経験と知識の本質であろう』。フォードはいくつも知識と経験が大事だと述べています」


「やっほー、人生よくなってる読者様。使える知識をお届けする世界一の美女サクラです! 今回は『運転中に電光掲示板を見ると事故が増える』のお話をしますよ」


「では、よろしくお願いします」


「読者様は自動車の運転をしますか?」


「え? 『毎日運転している』ですか。交通事故には気を付けてくださいね」


「ちなみに私は運転免許を持っていません。ですので、私有地でしか車は運転したことがありません。無免許運転ですね」


「私有地でも道路に面していたり、車の出入りがあるような場所だと法律違反になります。ですので、私有地で運転する場合でも、一度調べてからにしてくださいね」


「私の運転事情はともかくとして、今回お話ししたいのは交通事故についてです」


「読者様も車に乗っていたら一度は目にしたことがあるのが、道路標識です」


「この道路標識は交通上の制限をお知らせしたり、注意換気のために設置されています」


「たくさんの種類がありますが、これらの道路標識が本当に注意勧告として役に立っていると思いますか?」


「つまり、道路標識に意味があるのか調べてくれたのが、今回の研究です。カナダのトロント大学が行ってくれました」


「アメリカの道路では、電光掲示板で交通事故の数や死亡者数をお知らせしています。ドライバーに『この先は危険だから注意して、運転してね』と警告しているわけです」


「直前に知らせることで、慎重に運転するようになる、と期待してのことだと思います」


「さて読者様はどう思いますか? 交通事故多発地帯に突入する間に警告されたら、慎重になりますか? それとも、普段から注意しているから、特に何も感じませんか?」


「どうなんでしょうか?」


「そんな疑問を調べるためにアメリカのテキサス州が選ばれました。テキサス州では月の初めの1週間だけ、死者数を電光掲示板で表示します」


「つまり、同じ地域で電光掲示板で注意換気した場合と、しなかった場合での交通事故の数を比べることができるのです」


「ありがとうテキサス州! 変則的な表示方法のおかげで調べることができます」


「研究では、電光掲示板から10km以内の事故数を調査しています。あまり離れすぎると、電光掲示板の効果も低くなるからです」


「それで電光掲示板で事故の数が表示される場合とされなかった場合で比べた結果ーー」


「誠に残念ながら、電光掲示板で事故の数の表示があると、交通事故が増えていたのです」


「何ということでしょう、注意喚起は意味なかったのです」


「ただ、電光掲示板から距離が離れるほどに事故の数は減っていました。逆に言えば、電光掲示板を見た直後は危険です」


「電光掲示板で注意喚起を見てから5km以内だと事故の確率が1.52%も増えていました。距離が10km以内だと1.35%の増加となります」


「交通事故は被害が甚大になり、容易く命を奪います。わずかでも事故の発生率が上がるのはよくありません」


「それに電光掲示板から距離が離れていないほうが事故の規模も大きくなる傾向があります。電光掲示板の近くでは複数の車両を巻き込む事故が多くなります」


「本当に残念です。交通局の人も事故を減らすために注意換気しているというのに、結果は残酷です」


「たとえ知っている情報をもう一度見たとしても、事故の数は減っていませんでした。電光掲示板が複数設置されている区間では、同じ情報を流していたとしても、事故の数は減りませんでした」


「特に危険なのは、衝撃的な表示です」


「表示される事故の数、死者の数が多ければ多いほど、事故の数は多くなりました」


「同じ区間でも季節や年によって事故や死者の数は違います。ですが、電光掲示板で事故や死者が少ない表示を見た場合では、事故を起こす確率が減っていました」


「衝撃的な数字を見た場合、事故を起こす確率が4.5%も上がっていました!」


「もし読者様が『それだけ?』と思っていたら危険ですよ」


「たとえ、4.5%増えるだけでテキサス州での事故が年間で2600回増える計算になります。全体で考えれば、決して侮っていい数字ではありません。読者様も気を引き締めてくださいね」


「電光掲示板で衝撃を感じるかが事故を起こす鍵となるのです!」


「何が言いたいかといいますと、衝撃が強いと事故のことが気になってしまいます。そのため、運転中にも関わらず、気もそぞろになります」


「運転に集中できなくなって、結果として事故に繋がると考えられます」


「テキサス州の電光掲示板では、1月からの合計の死者数が表示される仕組みになっています」


「そのため、1月から12月までの合計の死者数が1月に表示されることになります。逆に2月に表示されるのは1月分のみなので、合計の死者数が一番少なくなります」


「もう言いたいことは、わかりますよね?」


「研究の結果、1月の事故が一番多くて、2月の事故が一番少なかったのです」


「いやー、恐ろしい結果です」


「衝撃のある数字を見ると人は思考停止しちゃうんですね。怖いですよ」


「今回の研究は自動車事故を対象にしていますが、他の場面でも同じようなことが起きるでしょう」


「たとえば、テレビで事故の数や死者の数を見た後は集中力が奪われているはずです。大事な仕事の前に見ていたら、仕事に影響が出かねません」


「衝撃を受ける数字を見たら、5分~10分程度は気を落ち着かせる時間を取ったほうがいいでしょう。集中できていないとミスの元凶になります」


「つまり、ニュースは最悪……?」


「テレビや新聞はもっとハッピーな情報を流してほしいですね。凶悪犯罪や衝撃の事故映像を流しても視聴者のためになりません」


「メディアの批判をした所で、今回のまとめです」


「電光掲示板で注意換気をした場合に本当に効果があるのか調べたよ」


「すると、電光掲示板で事故数や死者数を表示すると事故が増えたよ。表示するだけで、4.5%も事故の確率が上がるよ」


「しかも、数字に衝撃があればあるほど、事故が増えるよ」


「これは衝撃に引っ張られて、集中力が奪われるからだよ。事故のことが気になって事故を起こしちゃうんだから、本末転倒も甚だしいよ」


「読者様も電光掲示板を見た際は気を付けてください。慎重に運転するのは大事ですが、事故のことに気を取られたらダメですよ」


「まあ、免許を持っていない私が言っても説得力に欠けますが……」


「ともかく読者様、車を運転する際は気を付けてお願いします」


「ということで、今回は『運転中に電光掲示板を見ると事故が増える』のお話でした。読者様の人生の潤いになれば嬉しいです」


「最後まで、ありがとうございます。高評価や応援コメント、読者様が知りたい情報のリクエストも待ってまーす!」


「次回の『お金持ちでも貧乏人でもお金の不正は等しく行う』で、お会いしましょう!」


「もしくは、読者様が気になるお話でもいいですよ。目指せ、知識の宝物殿。バイバイ」



参考文献

Can behavioral interventions be too salient? Evidence from traffic safety messages

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