151_バレない嘘 #言葉 #行動

「視覚と聴覚に障害を持っていたヘレン・ケラーの言葉を紹介しましょう。『幸せとは、視野の広い深遠な知識をもつことです。その知識とは、嘘と真実、低俗なものと高尚なものを見分ける力です』。ヘレン・ケラーの視野はとても広かったのでしょう」


「やっほー、賢明なる読者様。読むだけで人生よくなる知識を提供する世界一の美女サクラです! 今回は『バレない嘘』のお話をしたいと思います」


「では、よろしくお願いします」


「今回読者様に伝えなければならないことがあります。実は私は…………男だったのです!」


「…………」


「うっそでーす!」


「どうですか? 読者様は騙されましたか?」


「え? 『最初から嘘だとわかった』ですか。しょぼーん、私の嘘ってそんなに分かりやすいですかね?」


「これから読者様を騙すためにもっと精進しないといけませんね」


「でも、嘘が上手くなる方法なんてあるのかしら?」


「お姉さん、バレない嘘を研究してくれた人がいますよ」


「まあ、なんてこと! 教えてほしいわ」


「という自作自演の一人芝居はここまでにしましょう。今回はポーツマス大学が嘘について研究してくれました」


「研究者は平均年齢39歳の194人を集めて、嘘についてのアンケートを取りました」


「アンケートの最初では日常生活の中での嘘について聞かれました。過去24時間に嘘をついたか? どのような嘘をついたか? 誰に対して嘘をついたか? 直接会って嘘をついたか、メールや電話を介して嘘をついたか?」


「質問をもう少し噛み砕きましょう。まず、聞いたのは直近24時間でどのくらいの数の嘘をついたかです」


「その次に、嘘の種類を聞きました。嘘と言っても自分を大きく見せる嘘。何かを隠蔽する嘘。誰かを庇う嘘などがあります」


「それで、誰に対して嘘をついたかです。家族なのか友達なのか。それとも職場で同僚や上司に嘘をついたのか。相手によって嘘をつくのかどうか調べました」


「嘘をつくのに直接会う必要はありません。SNSの投稿で嘘をつく場合もあります。メールや電話で会わずに嘘をつくこともできます。どのような状況で嘘をつくのか調べました」


「これで日常生活でどのような嘘が蔓延っているの調べることができます」


「どんな人に嘘をついて、どんな状況で嘘をつくのか窺い知れます」


「ですが、この調査だけでは嘘がわかるだけです。上手に嘘をつけるかは不明です。なのでアンケートには続きがあります」


「どのように嘘をついたのか聞きました。もっともらしい話をするのか? 誰かから聞いた、と話すのか? 詳細を調べることができない話をするのか? 内容をぼやかして曖昧に話をするのか?」


「研究者は嘘つきの戦略について調べたのです」


「アンケートの最後には、嘘をついた時の状況を思い出してもらい、上手く騙せたのかも聞きました」


「これで嘘つきの戦略が判明して、さらに嘘が成功したかどうかも判明します」


「さて読者様はどのような方法で嘘をつくと、相手を騙せると思いますか? また、読者様はどんな方法を使って嘘をついてますか?」


「もっともらしいことを言うのがいいのでしょうか? それとも、真実の中に少しの嘘を混ぜるのがいいのでしょうか? 事実よりも誇張すべきでしょうか?」


「分析の結果、バレない嘘の戦略が判明しました。それはーー」


「真実の中に少しの嘘を混ぜること!」


「よく巷で言われていることが有効だと判明したのです」


「しかも、他の戦略と比べて圧倒的に嘘がバレにくかったのです。スコアに2倍以上の開きがありました」


「読者様もこれから嘘をつく際は、真実の中に紛れ込ませてください。これでバレません。やったね!」


「ただ、嘘をつかないのが一番です。それを言っちゃおしまいですが……」


「ちなみに、もっとも被験者が使っていた戦略は、話の内容を明確にしてシンプルに話す、という戦略で17.6%の人が使用していました。ボロを出さないために、言葉を少なくする戦略ですね」


「続いて多かったのが、もっともらしい話をする、で15.1%です」


「次は、詳細を曖昧にする戦略です。13.2%でした」


「そして、真実の中に嘘を混ぜる戦略は13.1の人が使用していました」


「バレにくい嘘なんですが、他の戦略に比べて使用率が少なかったようです」


「世間で嘘がバレやすいと感じるのは、バレにくいを嘘を使っている人が少ないからなのかもしれません」


「他にも色々と判明しています。人がどれくらい1日で嘘をつくのかといいますと、平均1.6回です」


「1日に1回か2回、嘘をつくんですね。とはいえ、39%の人は嘘をついていない、と回答しています。この回答そのものが嘘だったたら……まあ、疑い始めたらキリがないですね」


「どうですか? 読者様は1日に何回くらい嘘をつきますか? それとも『嘘なんて1回もついたことないぜ』という嘘をついてますか?」


「ただですね、この結果は一部の人が回数を押し上げていることも明らかとなっています」


「被験者の1%の未満の人が大量に嘘をついてました。全部の嘘の38.5%は1%未満の人たちの嘘だったのです!」


「しかも、誰に対しても嘘をつきます。誰彼構わず嘘をついて、罪悪感も覚えません」


「嘘をつく人は息をするように嘘をつく、と言います。あながち間違いではないようです」


「家族に対しては白い嘘をついていたようです。白い嘘とは、その人のためを思ってつく嘘のことです。日本人には嘘も方便と言ったほうが伝わるでしょうか?」


「また自分が嘘をつくのが上手い、と思っている人は嘘をつく回数が多いことも判明しています」


「自分の能力をひけらかしたい気持ちは私もわかります。承認欲求は人なら少なからず持ち合わせています」


「ちなみに嘘つきの能力に学歴は関係ないようです」


「いい大学を卒業していても、嘘が上手いとは限りません。逆に学校なんてろくに通ってなくても、嘘が上手い人もいます」


「最後に一つ、男性と女性でどちらが嘘をつくのが上手い、と回答したと思いますか?」


「あくまで自己申告です。実際の嘘をつく能力ではなく、嘘が上手いと認識しているのは男性でしょうか? それとも女性でしょうか?」


「お喋り好きが多い女性のほうが嘘は得意なのでしょうか? いやいや、男性だって、社会を世渡りするために上手に嘘をついているのでしょうか?」


「結果はですね、圧倒的に男性のほうが嘘をつくのが上手い、と回答しました」


「男性の62.7%が嘘をつくのが上手い、と回答しました。女性は37.3%になります」


「対して女性は、70%の人が嘘をつくのが下手、と回答しました。男性は30%ですね」


「単純に男性のほうが女性より、約2倍も嘘をつくのが上手い、と思っている結果となりました」


「ただ、嘘というのはかなりの頻度で見抜かれます」


「世間では女性が嘘を見抜くのが上手い、という風潮が主流です」


「これは男性が嘘をつくのが上手いと誤解していることに起因しているのでしょう」


「嘘をつくのが上手いと思っている人は嘘の回数が増えます。相手にバレないと思っているけど、実際はバレます」


「単に男性のほうが墓穴を掘る回数が多いのだけです。それがいつしか、女性は嘘を見抜くのが上手い、という風に解釈されたのでしょう」


「男性の読者様は、これから嘘は自重したほうがいい……っぽい?」


「男性の読者様に注意勧告した所で今回のまとめです」


「日常生活の中にある嘘について調べたよ。その際には嘘つきの戦略も調べたよ」


「すると、バレない嘘の特徴が判明したよ。それは、真実の中に少しの嘘を混ぜることだったよ」


「読者様も嘘をつく際は、真実の中に混ぜてね。木を隠すなら森の中だよ」


「他にも、人は1日に平均して1.6回の嘘をつくよ」


「嘘をつくのが上手いと思っている人は、嘘をつく回数が多くなるから気を付けて」


「特に男性は女性より約2倍も嘘をつくのが上手い、と思っているよ」


「嘘をつかないでいいのなら、それが一番です」


「読者様も嘘をつくのも、嘘をつかれるのも気を付けましょう」


「ですが、どうしても嘘をつかなけらばならない場合は、真実の中に嘘を混ぜましょう」


「嘘については、以前”025_【嘘を見破る】嘘つきが無意識にしてしまう所作”で嘘つきの特徴をお話ししています。嘘つきを見抜きたければ、ご参考ください」


「ということで、今回は『バレない嘘』のお話でした。読者様の知識になれば幸いです」


「お付き合いいただきまして、ありがとうございます。高評価や応援コメント、質問やリクエストも待ってまーす!」


「次回の『運転中に電光掲示板を見ると事故が増える』で、お会いしましょう!」


「もしくは、読者様が気になるお話でお待ちしております。バイバイ」



参考文献

Lie prevalence, lie characteristics and strategies of self-reported good liars

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