149_やっぱりゲームは勝つか負けるか分からないくらいが調度いいことが研究で証明された #ゲーム #ワクワク

「ウィリアム・シェイクスピアの喜劇の中でも最高の作品と名高い『空騒ぎ』には『知恵と情熱が人間のか弱い体の中でせめぎ合えば、十中八九、情熱が勝ちを収めます』という台詞があります。同じ量でも意思次第で勝ちを得ることは難しくありません」


「やっほー、人生よくなってるはずの読者様。タメになる情報をお届けする世界一の美女サクラです! 今回は『やっぱりゲームは勝つか負けるか分からないくらいが調度いいことが研究で証明された』のお話をしますよ」


「では、よろしくお願いします」


「読者様はゲームが好きですか?」


「え? 『大好きだよ』ですか。ほうほう、なるほど」


「では、もう一つ質問します。ゲームは楽しいですか?」


「『楽しいに決まっている』ですか。そうですね、楽しいからゲームをプレイするのでしょう」


「今回はゲームの楽しさについてお話ししようかと思います」


「読者様はどんな時にゲームを楽しいと感じますか?」


「勝つか負けるか、勝敗の行方がわからない時ですか? それとも、敵を一方的にやっつけている時ですか? もしくは、同じことを繰り返している時の作業間が好き、という猛者もいるかもしれません」


「おおよその人は、勝つか負けるかのハラハラ感がゲームの楽しさと直結しているかと思われます」


「読者様も体感していることでしょう。勝つか、負けるか、神経をすり減らしている時はしんどいですが、クリアした時の達成感が素晴らしいことを」


「というのもですね、イスタンブールのシェヒル大学の研究者が、やっぱりゲームは勝つか負けるか、どっちつかずな状況がゲームは楽しい、という研究をしてくれました」


「面白いですよね。体感としては知っていても、客観的な証拠は今までありませんでした。今回の研究によって、ハラハラ感のあるゲームは名実共に楽しいことが証明されたのです」


「研究者がどのような実験を行ったかと言いますと、72人の学生を集めて色々なスポーツを楽しめるゲームをしてもらいました」


「被験者にゲームをしてもらい、ゲームで感じた楽しさ、ハラハラ感、自分の技量などについて聞きました」


「その際、被験者には難易度が変化するCPUと対戦してもらう、と告げたそうです」


「そう、告げたのです。実際にはゲームをやり込んで、滅茶苦茶上手くなった研究者と対戦していました」


「なぜかと言いますと、被験者にギリギリで勝ってもらう場合と圧勝してもらう場合を意図的に作るためでした。CPUでは細かい調整はできませんからね」


「いやー、研究者も涙ぐましい努力をしていますね」


「そんな感じで、被験者にはバレずにギリギリ勝った場合と圧勝した場合で、楽しさやハラハラ感などに違いがあったのか調べたのです」


「で、結果は読者様のご存じの通りです。ギリギリで勝ったほうがよりゲームを楽しめたのです」


「もちろん、ハラハラ感も最大値に達していました」


「実験後にまたゲームをプレイしたいか? と訪ねられた被験者は、やはりギリギリで勝った場合のほうがまたゲームをプレイしたい、と回答していました」


「その数、69%です。ギリギリで勝った人の7割がまた、ゲームをプレイしたくなったのです」


「つまり、売れるゲームの秘訣はハラハラ感だったのです」


「勝つか、負けるか、どっちかわからないゲームバランスが重要なんです!」


「ちなみにですね、敵に圧勝した場合は楽しみが少なかったのですが、自分の技量を高いと評価しました」


「当然ですね、相手をボコボコにしたら優越感に浸れることでしょう。自分が上手いと誤解しても仕方ありません」


「研究者が意図的に手加減をしていたとも知らずに……」


「心理学では自分の能力が高いとモチベーションが上がる、とされています」


「だからこそ、ゲームの最初は簡単に設計されているのでしょう。優越感や有能感でゲームに引き付けて、その後に簡単には勝てないボスを用意してハラハラ感を演出する」


「ボスは強すぎたら、プレイヤーが離れてしまいます。ですので、頑張れば勝てるくらいに調整しているのです」


「ゲームってのはよくできてますね」


「でも、ゲームのバランス調整ってとても大変みたいです。プレイヤーの技量はプレイヤーごとに違います。ある人には簡単でも、ある人には難しい、両方のプレイヤーに楽しんでもらえる都合のいいバランスなんてのは存在しません」


「私的には、ゲームが楽しいかつまらないかの最大の要因はバランスだと言っても過言ではないと思います」


「ホント、ゲームって度しがたい」


「それはともかく、ゲームを実際にプレイしてなくても観戦している場合も同じようです」


「読者様もスポーツ観戦をしたことがあると思います。その際、一方のチームがもう一方のチームをボコボコにしている試合と、追いつ追われつのシーソーゲームのほうが見ていて楽しくないですか?」


「応援しているチームが圧勝していても退屈に感じたことはありませんか?」


「勝負事は、自分がやっていても、見ている側でも、楽しむには勝つか負けるかのギリギリの試合のほうがいいんです」


「最近では、ゲームの実況動画というものがありますよね。有名なゲーム実況の配信者って、別にゲームが上手いとは限りませんよね」


「つまり、配信者が勝つか負けるかのプレイをしていると、視聴者もより楽しめるのです」


「面白いですよね。読者様もゲーム実況の配信者になる場合は、適切な難易度を選択してくださいね。一方的にボコっていたら、視聴者を退屈させてしまいます」


「ゲーム実況が流行っている真実をさらした所で、今回のまとめです」


「学生を集めてゲームを楽しんでもらった。その際に、研究者によって、被験者が圧勝するか、ギリギリ勝利するか調整した」


「やはり、ギリギリで勝利したほうが楽しさとハラハラ感が最高だった、と回答したよ」


「でも、圧勝した場合は、自分のプレイが上手いと思ったよ。有能感はモチベーションに繋がるぞ」


「読者様も自分が楽しんだり、相手を楽しませる時は難易度の調整を怠けたらダメですよ」


「言ってしまえば、ギャンブルと同じなんですよね。勝つか、負けるか、この不確実性はドーパミンをどんどん分泌させます」


「行きすぎれば中毒になってしまいます」


「ゲーム中毒しかり、ギャンブル中毒しかり。やりすぎには注意してください」


「読者様は、ゲームと適切な距離感を保てるよう気を付けてください。まあ、賢明なる読者様なら問題ありませんよね」


「ということで、今回は『やっぱりゲームは勝つか負けるか分からないくらいが調度いいことが研究で証明された』のお話でした。読者様の人生の潤いになれば嬉しいです」


「最後まで、ありがとうございます。高評価や応援コメント、読者様が知りたい情報のリクエストも待ってまーす!」


「次回の『口が悪い奴は正直者だぜ』で、お会いしましょう!」


「もしくは、読者様が気になるお話でもいいですよ。バイバイ」



参考文献

Enjoying the possibility of defeat: Outcome uncertainty, suspense, and intrinsic motivation

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