144_思い出せそうで思い出せない時、ギャンブルをしたくなる #言葉 #メンタル

「うーん、あの人の名言を思い出せません……。喉まで出かかっているのですが、出ません。出そうなのに、出ないです」


「やっほー、人生よくなってるはずの読者様。タメになる情報をお届けする世界一の美女サクラです! 今回は『思い出せそうで思い出せない時、ギャンブルをしたくなる』のお話をしますよ」


「では、よろしくお願いします」


「読者様は言葉が出そうで出ない状態になった経験はありませんか?」


「以前のお話では、この言葉が出そうで出ないのを解決するには運動が一番だ、と述べました」


「ですが、今回は言葉が出そうで出ない状態の時に人はどのようなことが起きるのか? についてお話ししたいと思います」


「さて、読者様は言葉が出そうで出ない時、どのような心理状態になっていると思いますか?」


「出そうで出ないから、モヤモヤしている? それとも、楽しい? 悲しい? 嬉しい? 悔しい? どれだと思いますか?」


「その正解を研究してくれたのはコロラド州立大学の研究者です」


「まずは大学生を19人集めて、言葉が出そうで出ない状態に持っていきました。一般常識80問を矢継ぎ早に出題して、言葉が出ない状態を意図的に作り出します」


「その後ですね、単純なギャンブルをするか質問しました。コイントスをして表か裏を当てるだけのゲームです」


「集められた学生にギャンブルをする理由はありません。ギャンブルをする理由がないにも関わらず、被験者の多くがギャンブルをする、と答えたのです」


「つまり、言葉が出そうで出ない状態になるとリスクを取りたくなるのです!」


「面白いですよね。読者様は言葉が出なくなったら、ギャンブルがしたくなっちゃうんです!」


「友達とギャンブルがしたくなったら、言葉が出そうで出ない状態にするといいですよ。誘いに応じてくれる確率がアップします」


「逆に利用されないように、気を付けてくださいね」


「研究者はさらに実験をしてまして、またしても大学生を集めました。今度は180人です」


「実験内容は先のものとほとんど同じでしたが、少しだけ違います」


「集められた大学生を二つのグループに別けました。一方は先の実験と同じ内容でした。もう一方のグループには言葉が出そうで出ない状態になった後、ギャンブルをするかどうかまで10秒の時間を与えました」


「要は、時間を与えるとどうなるのか調べたのです」


「恐らく結果が読者様の予想通りだと思います。10秒の時間を与えられたグループはギャンブルをすると答えた人の割合が減りました」


「やはり、時間を与えられると冷静になるのでしょう。リスクを取らなくなりました」


「友達をギャンブルに誘う際は間発入れずにするしかなさそうです」


「研究者はさらに実験を重ねます。先の二つの実験では、言葉が出そうで出ない状態になった時、ギャンブルをするかどうか聞いているだけです。実際にギャンブルをするかは未知でした」


「そこで三つ目の実験では実際にコイントスができるようにしました」


「50人の大学生を集めて、言葉が出そうで出ない状態にして、実際にコイントスのゲームをするか調べたました」


「人というのは往々にして、考えと実際の行動に乖離が発生します。考えだけでなく、本当に行動に移すのか確認しました」


「実際にギャンブルをしたかと言うと…………しました!」


「言葉が出そうで出ない状態になると、実際にギャンブルをしてしまうのです!」


「いやー、恐ろしい結果です。クイズ番組を視聴した後とか大丈夫ですか? ギャンブルしたくなっていませんか?」


「逆に言えば、宝くじ売り場に一般常識の問題を列挙していると売り上げがよくなるかもしれませんね」


「どうして言葉が出そうで出ない状態になるとリスクを取りたくなるのかと言いますと、ポジティブ感情が関係しています」


「どうやら言葉が出かかっている状態というのはポジティブになれるようです」


「まあ、もうすぐ終わりそうな時って楽しくなったり嬉しくなったりしますよね。つまり、もうすぐ終わる、と思うことで気分がよくなるのです」


「さらにもう一つ重要なことがありまして、先行研究ではポジティブになると人はギャンブルをしたくなる、という傾向が確認されているのです」


「楽しくなっちゃって、気が大きくなり、そのままギャンブルに手を出す、という流れです」


「研究者は、言葉が出そうで出なくなる、ポジティブになる、ギャンブルしたくなる、と考えているのです」


「いやー、面白い結果ですね。まさか、言葉が出そうで出ない状態がギャンブルと関係があるなんて、予想外です」


「ギャンブルが好きで抜け出せない人は、答えを求めるのもありですね。言葉が出そうで出ないのが問題なので、それを解決してしまえばギャンブル欲がなくなるはずです」


「ギャンブル中毒者は気にかけてください。まあ、ギャンブル中毒者が私のお話を聞いているとは思えませんが……」


「少しばかりの自虐を入れた所で、今回のまとめです」


「学生を集めて、矢継ぎ早に一般常識に答えてもらい、意図的に言葉が出そうで出ない状態を作ったぞ」


「そして、ギャンブルをするかどうか持ちかけたら、たくさんの被験者がギャンブルをすると答えたぞ。それに実際にギャンブルをしていたぞ」


「でも、10秒の時間を置いてからギャンブルをするかどうか聞くと、ギャンブルをしなくなる可能性が高くなるぞ」


「友達をギャンブルに誘いたい場合は、たくさん質問して言葉が出そうで出ない状態に持っていってから誘うのがいいぞ。乗ってくれるの間違いなしだ」


「ただし、悪用はしないでくださいね。ギャンブルは常識の範囲内かつ身を滅ぼさない範囲でお願いします」


「それとですね、言葉が出そうで出ない状態が長く続くとポジティブな感情は消え去り、不満が膨らみます。読者様が質問をして、答えを教えないと相手から嫌われます」


「答えを焦らすのは厳禁です」


「相手からイエスをもらったら、ちゃんと答えを教えましょう」


「ということで、今回は『思い出せそうで思い出せない時、ギャンブルをしたくなる』のお話でした。読者様のリスクマネジメントに活用してくれたら嬉しいです」


「最後まで、ありがとうございます。高評価や応援コメント、読者様が知りたい情報のリクエストも待ってまーす!」


「次回の『自信が欲しいならオシャレをしよう』で、お会いしましょう!」


「もしくは、読者様が気になるお話でもいいですよ。バイバイ」



参考文献

The tip-of-the-tongue state bias permeates unrelated concurrent decisions and behavior

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