幼女同居

家を手に入れた。

いや正確には、住むところがないから仕方なく住むことにした……といった方が正しいかもしれない。

「――はい、ここが私の家」

フィーノの家。

特別大きいとか小さいとかっていう訳ではなく、一般的な大きさの家。

むしろ、一人で住んでいるフィーノにとっては少々大きいのではないだろうか。

食文化も違う、さらには働く年齢も違うといった、異世界ならではなことが一日中起きている。

見た目は血なのに、食べてみれば以外においしい。飲食店で働いている年齢が10歳ぐらいなどと……普通は考えられないようなことが起きている。

いやまあ、海外とかも食文化とか違うから、それと似たような感じなんだけど……でも、頭が追いついていけない。

非日常的なことが起こるのに対して、俺はどうやったら慣れれるのだろう。

「ほら、入って入って」

異世界生活というのは、最初は楽しみだったけど、こうして実際に食文化とかに触れると大丈夫なのかなって思う。

生活が一気に変わると、なれるまでに時間がかかるのと同じことだ。

まあ、大丈夫だと信じよう。

「ねぇー、どうしたの?」

「……はっ!?」

いけない、危うく自分の世界に入るとこだった。

「さっきからぼーっとしちゃって大丈夫?」

「ああ、大丈夫だよ」

世界観が変わるとぼーっとするのもいいじゃないか。

「ふーん……さてはエッチなこと考えてたりして?」

「なっ!?なにを言って……そんな考えは俺には無い!」

いや、人間である以上、そんな考えは普通あるんだけど。……何を言ってるんだ。

「へぇーそうなんだ……」

「な、なんだよ……」

「じゃあ、おっぱい出しても興奮しないってことでしょ?」

ちょっと待て、どういうことだ。

「いやいや、そ、そういうことじゃ……!」

「じゃあ、どういうこと?」

「……あーもう!」

どう返したらいいかわからなくなったので、フィーノから逃げるようにして家の中に入っていった。


「はぁ……」

家の中に入り、フィーノから「さっきの続きは?」と詰められたが、適当に言い訳をした。

観念したのか、フィーノはそのことについて問い詰めることはなくなった。

「それで……俺はここに住んでいいと?」

別に俺は、帰るところがないので、フィーノに相談をしただけ。

「うん。帰るところがないなら、帰るところを作っちゃえばいいだけだよ」

「そうはいってもねぇ、簡単じゃないよ」

帰るところを作ればいい。それは、家を建てろということかもしれない。

家を建てれば帰るところを作った、といえるかもしれない。

なぜ帰る場所があるのか。

「作れないなら借りればいい。借りれなければ、住まわせてもらえばいい。隼人は、最後の方だね」

「住まわせてもらえないなら?」

「……廃人になる」

思ってた答えが出てきた。

「まあ、なんというか、この世界での生活は大変だけど、色々とよろしくフィーノ」

「何回そういうわけ?一回でいいのに」

「ははっ……それもそうだな」

という訳で、今日から俺はフィーノの家に住むことにした。

……住むことなった、といった方が正しいか。





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