雨上がりの病みあがり

 一度でも好きになったものには、


 ちゃんとした理由があるということなのだろう。


 大好きだったバンド、大好きだった音楽、大好きだった曲。


 違う自分に生まれ変わりたくて、否定しようとしたのが間違いだった。

 

 どれだけ自分のことが嫌いでも、そこにしか真実はないのに。


 自分を否定したところで、新しく生まれ変われるわけじゃない。


 無理に生まれ変わろうとしたところで、


 自分らしくない人間ができあがるだけ。


 必要なものも大切なものも、好きになったものが教えてくれる。


 それが自分自身であっても、嫌いなものは何も教えてくれはしない。


 耳に馴染んで仕方がないメロディ、身体中を心地よく駆けめぐるリズム。


 何度も読み返した歌詞は、いまでも頭の中に入っている。


 自分を救ってくれるものは、他の誰かや自分自身でなくてもいい。


 本当に好きなものがあるのなら、それを大事に抱えて生きていこう。

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