色眼鏡と髪の色

 偏見はよくないことだとわかっていても、


 ふと気づいたときには色眼鏡をかけてしまっている。


 テレビやネット、本で得た情報は先入観につながるし、


 友達から聞かされる話だって同じことだ。


 自分自身の人生に起きたことだって、所詮はひとりの人間の体験談にすぎない。


 でも、見方を変えれば色眼鏡だって悪いことばかりではない。


 たとえば、髪の毛を真っ赤に染めている人を見たときに、


 この人は真面目でおとなしい人だと思う人は少ないだろう。


 バンドをやってそうとか美容師なのかなとか、


 特定の趣味や仕事と結びつけるのも、


 色眼鏡で見てしまっていることには変わりない。


 でも、それが悪い印象に結びつくとはかぎらない。


 自分もバンドをやっている人やおしゃれに興味ある人は、


 悪い印象をもつことはなく親近感を覚えるのではないだろうか。


 そもそも真面目でおとなしそうなら好印象をもたれるというわけではないし、


 時と場合によっては悪い印象をもたれることだってあるはずだ。


 真っ赤な髪の毛だって、真っ赤な色眼鏡で見れば気にならない。


 大事なのは、自分はどんな色眼鏡をかけているのか認識することだ。


 自由にかけたりはずしたりできないからこそ、


 自分はどんな色眼鏡をかけているのか知っていなければならない。 


 どんな色眼鏡を自分はかけているのか理解できていれば、


 生きていくための道具のひとつとして割りきれるようになる。


 同じ色をしている人に気がつきやすくなるし、


 違う色をしている人にも気がつきやすくなるからだ。


 そして、


 相手も色眼鏡越しにこちらを見てるのだと思えば気にならなくなることもある。


 色眼鏡をかけずに生きることができて、


 お互いに裸眼で見つめあえることが一番素晴らしいのだとしても。

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