第十一話 探索ー3

 準京都郊外の山林の一角にやってきた三玲は、車から下りると、やや前方に見えるなだらかな三角形の小山を見た。


 近くに人の踏み入ったような道らしきものも見当たらないため、草むらをかき分けながら進んで行く。


 やがて小山の手前までくると、ポケットから折りたたんだ紙を取り出し、その中の一枚を広げた。


 写真に写っている天馬山のこんもりとした形状と目の前のものは同じだった。


 三玲は、一度、周囲を見て回った。


 すると、ちょうど裏側の一部に、やはり誰かが側面を掘り崩したような跡がある。


 また、ここも………?


 一応、内部を確認してみると、粘土質の土と石が堆積していた。


 でも、これも違うわ………。


 と、三玲がそう思った時、電話の呼び出し音が鳴った。


 ポケットから取り出して応答ボタンを押すと、画面に佐山が映った。


『今、話しても大丈夫か?』

「大丈夫よ」

『警察から連絡があった。バタフライ現象の発症者を確保したとのことだ。被害者も一緒だそうだ』

「分かったわ。これから引き取りに行くわ」


 三玲は通話を終えると、また草深い道を戻り始めた。


 ◇ ◇ ◇


 ツーン、ツーン。


 そこからほど近い場所を黄色メガネが飛んでいた。


 ツツツツツツツ。 


 機体に内蔵されている音波探知機の反応が徐々にクリアになってくる。


 そして、茂みの中に三玲の姿を見つけるとゆっくりと接近していき、二つの目に搭載されているカメラで撮影し始めた。

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