第十二話 やっつけリポート
「………目撃した人の話によりますと、突然、何人もの人が奇妙な声を上げ始めたとのことです。状況から、カエル化現象を発症したと思われますが、鳴き声も中腰の仕草も跳ね方も、徐々に本物に近づきつつあるようです。何故、こんな奇妙な現象が起きるのか? しかも準京都内だけで。謎と不可解さは増すばかりです。以上、現場のけやき通りからお伝えしました」
「オッケーです!」
トモキはけやき並木を背景にして立つミサコにそう伝えると、カメラのストップボタンを押した。
「でも、ちょっとアッサリ過ぎるような気が………?」
「いいのよ、岡さんがうまいこと編集してくれるから」
ミサコはそう言うと手早くイヤホンを外してマイクと一緒にカバンに押し込み、ツカツカと車に向かって歩き始めた。
結局、生中継できずに録画撮影だったことが気に入らないのだろう。
トモキはミサコの気持ちを察した。
だが、適当で投げやり感のあるリポートの理由はそれだけではなかった。
ミサコの焦点が、すでに次のことに移行しているからだった。
トモキにはそれが分かったので、何も言わずに急いで荷物をまとめた。
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