第十話 姿なき害虫
「ウワーッ………!?」
どこからか悲鳴が聞こえる。
この通りの少し先にある角を左に曲がった辺りか。
と、その直後、また一人、顔や腕を負傷した姿で血相を変えて逃げていく。
これで他社からの派遣組のうち、二人目が仕事を途中で放棄したことになる。
「ギャーッ………!?」
さらに、同行していた男たちも、体中に無数の傷を受けた状態で脱兎の如く去っていく。
そんなに恐ろしい害虫なのか………!?
ノボルは、思わず足がすくんだ。
「おい! エサ! あの角を左だ! 急げ!」
が、三人組の一人にどやされたので、用心しながらも先に進むしかなかった。
そして通りを左折すると、そこにはやはり生々しい血痕と、バットや鉄パイプが落ちていた。
ところが、肝心の害虫はいなかった。
「どこに行きやがった!? 探すぞ!」
ノボルは男たちがそれぞれに周囲を警戒する中、数歩先を歩かされるようにして空き家の立ち並ぶ一角をゆっくりと前進し続けた。
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