第陸話 スキ好き☆魔女っ子×先生
【1.双姫】
時は深夜0時、十六夜の月が見守る中、町はずれの廃ビルの屋上でふたりの少女が数人の暴漢(?)と対峙していた。
いや、単なる“暴漢”などではない。黒子というより影絵のように漆黒の色彩に包まれた、目鼻立ちすら定かでない異形の者どもが、ゆらゆら蠢きながら、少女たちに襲いかからんと近づいてきているのだ!
「──
常人であれば恐慌(パニック)に陥りそうな状況だが、ふたりのうちの片方──淡いピンクとオレンジ色のひらひらしたミニワンピ姿の13、4歳くらいの少女は、白いステッキ(?)を右手に掲げつつ、高らかに名乗りを上げる。
「──
続いてその隣に立つ、深紅と桜色のロングドレスに身を包んだおそらく5歳くらい年かさと思われる女性も、身の丈ほどの長さのロッドを油断なく構えつつ、己が
「「カオス=ナラカの
ニチアサキッズ(もしくはおっきなおともだち)が歓喜しそうな“いかにも”なシーンだが、これは決して特撮番組のロケでも、マニアのコスプレ撮影会でもない。
正真正銘「異次元からの侵略者に対して全力で立ち向かう魔法少女たち」による、人知れぬ(まぁ、時々、一般人に目撃されることもあるが)全力全霊の真剣勝負(ガチバトル)なのだ。
幸いにして今日相対した敵はそれほど手強くなかったらしく、ルーナとスノウと名乗った少女たちは、体術と魔法らしきものを駆使して数分間で危なげなく勝利した。
「いつもながら、わたくしのルーナは強くて可愛らしいわ♪」
「あはは、ありがと。でも、この戦果はスノウの的確な援護のおかげだよー」
斃された異形の敵たちが黒い塵のようなモノとなって消えていくのを尻目に、互いの健闘を称える魔法少女ふたりが、やたら百合ユリしい雰囲気を周囲に振り撒いているのも、お約束と言えばお約束か。
『ふたりともお疲れ様。周囲にナラカの波動(けはい)は感じられないわ』
ふよふよと宙に浮いたウサギのぬいぐるみのようなモノが、テレパシーでふたりに話しかける。
「それはよかった。では、帰りましょうか」
「うん、そだね。夜更かしはお肌に悪いし」
月夜に現実離れした
ちなみに、“中の人”は片や中学2年生(14歳)の女の子、もう片方は19歳の女子大生……と見せかけて、24歳の女性教師(実は女の子の担任)だったりする。
──そこ、「若作りすぎw」とか「うわきつ…」とか言わない。
いい歳した大人の女性が、リアル“魔法少女”なんて
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