私たち、もう友達でしょ

私は、ほとんど毎日塾へ自習しに行っていた。

ずっと、一人だった。

それで良かった。

勉強するときに友達は必要ない。そう思っていたから。


でも、ある時私が先生と会話しているときに聞かれてしまって、私の学校が二人の同級生にバレてしまった。

私と同じように、結構な頻度で自習しに来ている子たちで、先生たちとすごく仲が良いことから、塾内でも目立っている子たちだった。

私は、隠しても無駄だと思って全てを話した。

中高一貫校に通っているけれども、受験することを。

お金持ちでもないし、頭も良くないから変に気を遣わないでほしいということを。

すると、最初は敬語で「私たちとは次元が違う」などと言っていた二人も、しばらくすると私に気を遣わずに話しかけてくるようになった。


知り合って、3日目塾で会話していると担当の先生や塾長に凝視されて「いつからそんな話すようになったの?!」「小学校、一緒だったの?」などと聞かれた。

どうやら、私が学校でうまくいっていないことを知っていた先生たちは、私は同級生と話すことはない、と思い込んでいたらしい。

私も話し相手を作る気はなかったため、自分自身驚いていた。

担当の先生は、「確かに塾は勉強する場所だけれども、友達と話したり笑ったりして息抜きする場所にしてもいいと思う。話しながら笑っているあなたを見て、それが本当のあなたなのかなって思った。授業するだけではわからないあなたが見えた気がした。」と言われた。


私は友達の基準が分からなかった。

授業後、話していると同級生の友達がやってきて「また新しい友達作ったの?」と話しかけられていた。

私は、どう返せばいいか分からなくて困っていると、同級生が「うん。」と普通に返していた。

私は、思わず「はやっ」と言っていた。

すると、同級生は「え、私たちもう友達でしょ。違うの?」と聞かれた。

私は「分からない。」と答えると、「じゃあ、友達ってことで。」と返された。

内心、嬉しかった。




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