私には隠せない
私は悩み事があっても隠す癖があった。
自分のことで他人の時間を使いたくなかったし、何より自分の弱さを知られることが怖かった。
演技をすることで、私の悩みを隠していつも通りの接するよう努力した。
普段はそれで隠すことが出来ていた。
でも、塾の担当の先生は違った。
受験のことをカミングアウトしてから、気にかけてくれていたっていうのもあると思う。
それでも、相手の感情を読み取る能力はとても高い先生だった。
私は受験生の時に、様々な精神病を患っていたため沢山の症状があった。
拒食症で食べれてない時は、「ちゃんと食べれてる?」と聞かれた。
眠れてない時は「ちゃんと眠れてる?」と気にかけてくれた。
何か悩み事があると、「大丈夫?何か抱え込んでない?」
毎回、ドンピシャでかつ的確だった。
先生自身、「一番分かりやすいのは目。元気がない時は笑っていても目の奥が暗い感じがする。あとは声のトーンや振り向き方でも分かる。でも私は、言葉では言い表しにくいんだけど、雰囲気でわかるから、目を合わせてなくても分かる。別に霊感が強いわけでもないんだけどね。」と言っていた。
私が、「普段は演技で誤魔化せていたのに、先生には毎回バレてしまうからビックリしました。」というと、笑いながら「私には隠せないと思うよ。」と自信たっぷりに返された。
良い先生。だけでなく、凄い先生でもある。
そう実感した。
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