第42話「乙女回路暴走西亜口さん~赤い血が真っ赤に燃える~」

☆★☆


「きしゃああああああああああああ!」


 わたしは荒ぶっていた。


「なんでわたし以外の女子をかわいく書いてるのよ! ああもう!」


 怒りのあまりゴロゴロと転がる。

 やはりゴロゴロはいいわね。

 心を落ち着かせることができる。


「ふぅ……ほんと、ライバルが増えて嫌になるわね……」


 あの脳筋武道女里桜だけならなんとかなりそうだったけど、あの妹もどき未海は危険だわ。わたしの中の危機察知センサーが超危険人物だと告げている。

 行動力が、すごいしね……。わたしに匹敵するかもしれない。


「先んずれば人を制す、というし……もう祥平に過去に出会っていたことを話そうかしら」


 来週の日曜日に未海がこっちに来るのなら、それまでに手を打たないと。

 先手必勝だわ。


「ふふっ……燃えてきたわ。やはり、こうでないと。争って、戦って、勝利を手にする。これこそ、わたしに相応しい。ロシアで培った赤い血が真っ赤に燃えるわね」


 でも、ちょっとだけ不安ね。

 ライバルが強敵すぎる。


「まったく、エキセントリックすぎるのよ、みんな」


 わたしのようなクールで常識的な日露ハーフを見習ってほしいわね!

 …………。ま、まぁ、わたしも、たまにエキセントリックだけど。


「……でも、ほんと……暴走気味ではあるわね、最近のわたし……」


 仕方ないのよ。出てくる女がみんなおかしすぎるのよ。

 それに対抗するためには、多少おかしくならないと戦えないのよ。


「どういう人生送ってるのよ、祥平は……」


 これまでに祥平がほかの女子たちとつきあわなくてよかったわ。

 あの未海って子とずっと一緒にいたら危険だった。

 引き離したご両親グッジョブだわ。


「さて、ここからギアを上げていくわよ! 敵は本能寺にあり!」


 本能寺じゃないけど。

 ふふ、言ってみたかっただけ。

 今日のわたしはテンションがおかしいわ。

 

「でも、多少はおかしくなっちゃうものよね」


 だって……わたし、祥平のことを――。

 す、すすす、好きなんだから!

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