第2話
ドアを開けると、案の定、外は異常なほど寒かった。それは、今日から新たな生活が始まる俺を
気合を入れ直すため、パチン!と両手で
シャキッとしろ、俺。そんなんじゃこれからやっていけないだろ。
「……っし」と小さく
ガンっ!
突然視界が
「ぐ……」
声にならないうめき声と共に、俺はその場に座り込む。痛ぇ。
俺の
「だ、大丈夫ですか?」と、人影は
俺は、若干過呼吸になりながら、顔を抑えていない方の手を前に突き出し「大丈夫」のポーズをした。実際めちゃくちゃ痛いだけでフラフラもしないし、あまり人の助けもいらなかった。
「え、あの病院とか……。あ、救急車!」
しかし、俺のジェスチャーは全く届いておらず、慌てふためく女性。俺は繰り返し「大丈夫、大丈夫っす」と言って女性を
しばらくして、やっと痛みが落ち着いたので立ち上がることができた。俺はそこで初めて女性の顔を見ることができた。
なんというか今時って感じがする。女性っていうよりも女子って感じ。いちごオレとか好きそう。というか制服着てるし多分学生だ。しかも、俺はこの制服知っている。学校見学とか入学手続きをしに行った時に見た覚えがあった。
これ、今日から俺が通う高校の制服だわ。
目が合うと、名も知らぬ女子は「ごめんなさいっ!」と勢いよく頭を下げた。長めの髪がその動きに連動して、アクロバティックに揺れる。おぉ、すごいグラフィック。
「大丈夫っすよ、もう痛みも引いたんで。ほら」
そう言って、俺は抑えていた鼻から手を離す。手は顔面から、妙にぬるっとした感覚とともに外れた。
ぬるっ……?
ぬるっ……!?
恐る恐る手を見ると、俺の手は血で赤く染まっていた。
『ぎゃああああッ!!』
ちょうど顔を上げたタイミングの女子と目が合い、二人して絶叫がハモる。
俺は驚き後退りをする程度で耐えられたが、どれだけ酷かったのか、俺の顔を見た
どうすんだよこれ。
どうすんだよこれ……。
俺は冬空の下、マンションの共用通路で血を流しながら立ち尽くした。
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