第6話 2度目のクリスマスイブ
それから、1ヶ月過ぎ―――――
世利南と遠哉は話し合った結果、別れた。
だからって彰人と付き合うわけでもなく、フリーとなり彰人と出掛けたりはしているみたいだけど――――
ある日の事だった。
「あの!俺と付き合って下さい!」
他校生からの突然の告白。
「えっ!?」
「あの…ゆっくりで良いんで…」
私は友達から彼・垢坂 友鳴(あかさか ともなり)君と付き合ってみる事にした。
そして、12月。
「イブの日、良かったら一緒に過ごさない?」
「えっ!?あっ、うん。良いけど」
「そうかー、良かった」
ある日のデートの日。
「あっ!可愛い〜♪雪だるまだ」
私は、とある店の小物に目が止まった。
「雪だるま、好きなの?」
友鳴君が尋ねた。
「好きっていうか、何か可愛い〜と思って目がついただけ。嫌いじゃないよ。色々な雪だるまの形あるし」
「そうだね」
私達は、街をブラついていた。
12月24日。
クリスマスイブ。
「去年のイブ最悪だったしな〜。1度ある事は2度あるっていうしな〜…大丈夫だよね…」
✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕
「友鳴っ!」
「うわっ!ちょ、ちょっと!どうして?俺、今から出掛け…」
「私よりも、そっちが大事?」
「彼女と待ち合わせしてるし!デートなんだよ!」
「ええーっ!そんな〜…」
「ほら!分かったら帰れ!」
「やだ!慰めて!」
「あのな〜」
そして――――――
電話が掛かってきた。
「悪い…幼なじみが突然来て…帰れって追い返してんだけど…しつこくて」
「そっか…分かった。大丈夫!私も帰るから」
「本っ当っ!ごめんっ!」
かなり申し訳なく言っているのが伝わってくる。
「良いよ。それじゃ」
私は帰る事にした。
「幼なじみか…」
一人トボトボ帰る。
「…あれ…?…雪…?ホワイトクリスマス…か…。結局、また…寂しいクリスマス…」
♪〜
私の携帯にメール着信音が鳴り響く。
【空から雪が降ってる中、今年も淋しいクリスマスイブ?】
【ハッピーバースデー。瑞生】
「………………」
【今年の冬は、ホワイトクリスマスイブなのに相変わらず雪だるま売りしてる遠哉君で〜す♪】
ドキン…
まさかのメール相手に驚く中、胸が大きく跳ねた。
【彼女いないと淋しいっす!】
【ねえねえ、彼女、俺と一緒にイブ過ごさない?】
ドキン
冗談と分かっておきながら、私の胸は大きく跳ねる。
どうして
こうタイミング良く
遠哉は連絡くれるのだろう?
まるで
私の事が見えてるかのように……
♪♪〜
【幼なじみの絆には入れないね…】
【今年も淋しいクリスマスイブの瑞生だよ〜】
【雪だるま、今年も売っているんだね?】
♪〜
【売ってる。今年は完売寸前】
♪♪〜
【そうなんだ。お疲れ様】
♪〜
【もう家?】
【もし、まだ家じゃないなら寄れよ】
【俺、淋しくって君の顔を見たいかも】
♪♪〜
【意味深な言葉。メール平気なの?】
♪〜
【今、休憩中だから問題ない!】
♪♪〜
【そうか。じゃあ寄れたらよるね】
♪〜
【いやだ、寄って♪】
♪♪〜
【分かった。寄る寄る】
♪〜
【ヤッタ!サンキュー】
そして、私は寄る事にした。
「遠哉!お疲れ!」
「おっ!お待ちしてました!つーか、お前いつの間に彼氏つくったんだよ」
「えっ?いつって…」
「それなのに、またボッチイブってありえなくね?」
「し、仕方ないじゃん!」
クスクス笑う遠哉。
「ついてねーな」
「本当、男運、ついてない…。それじゃ、邪魔したら悪いから帰るね」
「ああ。気を付けて帰れよ!」
「うん、ありがとう!それじゃ、バイトファイト!」
「サンキュー!」
私は帰る事にした。
「なあなあ、今の彼女?」
「いや。友達」
「可愛い〜な。紹介しろよ!」
「嫌ですよ!だって、彼女いるでしょう?何、浮気してんですかっ!?」
「あっ!バレてた?」
「バレてたも何も…全く…!第一、彼女は予約済みですよ」
「そうなの?」
「そうです!」
「残念…」
「残念って…」
「あー、嘘、嘘」
「…つーか…彼女は絶対に渡しませんよ…」
「えっ?何か言った?」
「いいえ!」
「そっ?」
「はい」
その日の夜。
♪〜
【今、何してる?】
【ちょっと出て来れないかな?】
「…遠哉…?」
♪♪〜
【今から?】
♪〜
【無理なら無理で良いんだけど】
【前に別れた所なんだけど】
♪♪〜
【ううん。大丈夫だよ】
【今から行くね】
私は目的地に向かう。
すると、そこには1つの人影。
「遠哉!」
「あっ!悪い!」
「ううん。良いよ。どうしたの?」
「これ!やるよ!ラスト1個だったから。バースデープレゼントとクリスマスプレゼントとして」
「えっ!?そんな駄目だよ!お金…」
「俺からのプレゼントなんだから黙って受け取れ!」
「駄目だってば!嬉しいけど、申し訳…」
グイッと引き寄せる。
ドキッ
次の瞬間――――
ドキン…
私のオデコにキスをした。
「代金の代わり」
「だ…代金の代わりって…私に触れるには高いんだからね!」
「だったら尚更」
そして、私にラスト1個だったという商品を渡す。
フワリと首に何かを巻かれる。
マフラーだ。
ドキン…
「風邪引くだろう?」
「大丈夫だよ!遠哉が風邪……」
グイッと抱きしめられる。
ドキン…
次々に起こる遠哉のサプライズな行動に私の胸は戸惑うも、ドキドキと加速していく。
「…遠哉…ちょっと…どうし…」
「なあ、瑞生の中で、俺って…友達?」
「えっ…?」
「…悪い…気にするな!じゃあな!」
遠哉は、足早に走り去り帰って行った。
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