第4話 Four Date
そんなある日、私は彰人から告白された。
私は、過去が過去だ。
また傷が癒えていないのもあり断った。
だけど、何度もアプローチしてくれる彰人の一生懸さにOKの返事をした。
勿論、自分の過去を話す事にして。
「ねえ、彰人。私の何処が好き?」
「えっ?そうだな〜。友達感覚で付き合える所かな?」
「そっか」
嬉しいような複雑な返事だった。
何故か?って、彰人の想いが伝わって来ないからだ。
あれだけ好きって言われ付き合ったものの、付き合えるようになって何処か素っ気ない。
何となく彰人が求めている相手じゃなかったんじゃないかって……
私は不安が過る。
友達感覚で付き合えるって…その言葉の中に私への想いはあるのかな?って…
彼の中で、友達以上恋人未満な関係で、それ以上はないんじゃないかって…
私の想いを知ってるから?
私が余り想いを言わないから?
好きになろうって努力しているものの、そんな彰人からの愛情が伝わらないと思うのは私の思い過ごし?
恋愛って難しい。
私は考える事を辞めた。
数日後――――
「ねえねえ、瑞生」
「ん?何?世利南」
「今度、4人で出掛けない?」
「4人?」
「うん。私達。2ー2で、グループデート」
「あー、うん。良いよ」
「じゃあ予定決まったら言うね」
「うん」
そして、日程が決まり、出かける事にした。
目的地は、カラオケ。
私達は騒ぎ盛り上がっていた。
そんな中――――
各々、歌う中、私が良く聴いたりしている曲目を唄う遠哉がいた。
彰人は、どちらかというと世利南が好みそうな曲目を唄いこなす。
そして、一日を楽しみ、その日の現地からの別れ際。
「遠哉」
「何?」
「俺、ちょっと世利南に用事あるから、瑞生の事、頼んで良いか?それに世利南とは同じ方向だし」
「別に良いけど」
「悪い」
そう言うと彰人は、世利南と帰って行く。
「つー事で帰りますか?瑞生さん」
「あ、うん…」
信頼出来る友達だからとはいえ、好きな人を友達に任せるって…
世利南の気持ちは、どうなの?
世利南は、遠哉と少しでも一緒にいたいはずなのに…
「なあ、瑞生。お前、アイツ(彰人)と付き合ってんだろう?」
「うん…」
「何かあった?」
「えっ?何もないよ」
「そう?」
「うん。だけど、世利南は、遠哉と少しでも一緒にいたかったんじゃないかな?」
「だったらハッキリ言えば良くね?」
「えっ?」
「俺の事が好きなら、アイツ(彰人)に、一緒に帰りたいから彰人とは帰れないって。つーか、瑞生も何で止めなかったの?」
「それは…」
確かに遠哉の言葉は一理ある。
ポンと頭を押さえる。
「悪い…俺も言える立場じゃねーわ。俺も彰人に言うべきだった。瑞生を送ってやれ!って…」
「遠哉…」
ムニュと私の両頰を摘む。
「!!!」
「変な顔」
「!!」
パッと離す遠哉。
「と、遠哉が私の顔を面白くしてるんじゃん!」
「俺?いや…俺は、そんなつもりはない!」
「してた!」
「知らね!」
私達は騒ぐ。
「なあ、瑞生。ちょっと付き合って!」
「えっ?真っ直ぐ帰るんじゃないの?」
「まさか!」
「だったら尚更、世利南との時間増やした方が…」
「いや…」
「えっ?」
「世利南とは…行けないかな?」
「行けない?って…どういう…」
そして、向かった先はゲーセンだ。
「ゲーセン!?いやいや…ゲーセンありでしょう?あっ!自分の変わる姿、見せたくないとか?なんだかんだ言って世利南の事、好きになってくれてるんじゃん!じゃあ、実は嫉妬してたんだ!彰人に。このこの〜」
肘で、遠哉を何度か付く。
「いや、違う!正直、そういう思いなくて…世利南とは合わないかな?って…」
「えっ…?」
☓☓☓☓☓☓☓☓☓☓
一方。
「世利南って、瑞生と付き合い長いんだろう?」
「うん」
「瑞生って、いつも、あんな感じ?サバサバして、言いたい事、ハッキリ言うの?」
「うん。男っぽい性格に近いかな?あ、でも、そういう性格の中に傷付きやすい部分あるから」
「そっか」
「どうして?」
「いや…世利南は、遠哉とは、どうなの?」
「えっ?私?私は別に仲良くしてるよ。ただ自分を出せないっていうか…一歩引いちゃう部分あったりするかな?」
「そっか。何かあったら相談して来いよ!話聞くし!」
「うん。ありがとう!」
☓☓☓☓☓☓☓☓☓☓
「世利南は良い子なんだけど…やっぱり…俺の中では進展しない。過去の恋愛が、どうこうじゃなくて…」
「そっか」
「瑞生、自分責めるなよ!」
「えっ?」
「お前は悪くないから。これは俺達の問題だから」
「うん…」
「………………」
「瑞生、瑞生」
「な…」
ドキン
私の胸が大きく跳ねる。
オデコにキスされた。
「ちょ、ちょっと!遠哉っ!何す…」
スッと唇に人差し指で触れる仕草をする。
「本当は唇にしようかな?と思ったけど」
「な、何言って…私達は付き合ってないから!」
クスクス笑う遠哉。
「もうっ!馬鹿っ!」
「俺、馬鹿じゃなくて天才だから」
私達は騒ぐ。
キスの意味は分からないけど
遠哉の行動は
私の心を戸惑わせた。
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