第2話 タイミング

それから数か月が過ぎ、春。4月。


私は高校2年生。


16歳の年を迎えようとしていた。




「おっはよーっ!ねえねえ、瑞生、クラス見た?」

「見てないってば!見ての通り、私は今来たばかりなんだから!」



私の親友、渡部 世利南(わたなぺ せりな)



「そうだよね。ごめん、ごめん」



私達はクラスを見る。



同じクラスとなり、私達はクラスに移動する。



「ねえ、瑞生、今度、友達と出かけるんだけど、頭数の一人に友達誘っておいでって言われたんだ。参加しない?」


「えっ?」


「だって彼氏と別れたんだし、まだ作る気ないかもしれないけど、友達とワイワイ行くのも良いんじゃない?」


「…うーん…良い…辞めとく…」


「何言ってんの?駄目、駄目!強制参加してもらうよ!」


「えっ?つーか…それって実は計算だったんじゃ?」


「うん!」


「あのねー!」


「どちらにしろ、瑞生は参加だったんだよ〜」




私達は騒ぐ。


そして、私は参加する事になったんだけど……





「ごめーん!お待たせ〜。友達が参加しようとしなくて強引に連れて来ちゃった!」


「可愛い♪二人とも本当に彼氏いないの?」


「いない、いない。フリーの子連れて来るように言ってあるから!」



そんな中、私は一人の男の子に目が止まる。



《あれ…?あの子…》



私は昨年のクリスマスイブの事が脳裏に過る。




『1つどう?……メリークリスマス & ハッピーバースデー』




《あの時の子…?に似てるけど…違うかな…?》






すると、男の子は視線に気付いたのか振り向き目が合うと、ニコッと微笑んだ。




ドキン…


私の胸が大きく跳ねる。





そして、一人一人、紹介された。



羽矢麻 幸司(はやま こうじ)君。16歳。

尾久 友花(おく ゆか)ちゃん。16歳。



二人は、恋人同士であり、お互いの友達を紹介する。


彼等の名前は、

岡腹 彰人(おかはら あきと)君。16歳。

香月 遠哉(かげつ とおや)君。16歳。


イブに会った男の子は、香月 遠哉君だった。



彼が微笑んだ、あの笑顔は、私の事を覚えてくれてたのか疑問だった。


私達、6人は遊園地に行くのだった。




「遊園地って、どれ位ぶりだろう?」

「本当だよねー」




そして、私達6人は一日を楽しんだ。




その日の帰り―――――




「瑞生も、こっちだったんだ」

「うん」



私に尋ねるのは、遠哉。


みんなで名前を呼び捨てにしようと話し合った結果だ。

4人の中でだけど…。



「あれから彼氏つくんなかったの?つーか…出来なかったが正しいかな?」


「どっちもどっち。共学とはいえ出会いないし。そういう遠哉こそ、カッコイイのに彼女出来ない?ううん、いない方がおかしいかも?」


「俺は色々あって彼女作る気ないって感じかな?今日も仕方なく参加。今迄付き合った人いても相手からの告白ばっかでさ…他に男いたりすんの。俺は、ただのオマケ」


「オマケって…」


「だって、他に男いんだぜ?気付かない俺も馬鹿だけどさ。多分、お前と俺って似てるかも?」


「…じゃあ付き合ったら、うまくいきそうなカップルかな?」


「だとしたら付き合ってみる価値あるかもな?」




微かに微笑む。




ドキン


胸の奥が小さくノックした。




そして再び話を続ける。



「ところで、雪だるまちゃん、どうなった?即効、冷凍庫に入れねーと溶けちゃうんだよね。塊とはいえ、所詮、溶けたら、ただの水じゃん。恋みたいに流れていっちゃうし。恋ってタイミングが必要じゃん?そう思わね?」




「確かに恋はタイミングかもね」

「だよな〜」

「後、雪だるまちゃん、大丈夫だよ」

「そっか。あっ!それじゃ俺はここで」

「あ、うん」




別れ始める私達。




「あっ!そうだ!連絡先、交換しよう!」

「えっ?」

「あっ!無理なら良いけど…」

「ううん!大丈夫だよ」

「良かった。これも1つのタイミングっつー事で、また連絡する」

「あ、うん!」




私達は別れた。





♪〜


【ちぃーす!遠哉ッス!元気?】




♪♪〜


【うん!元気だよ】


笑顔の絵文字を含めたメッセージ。




♪〜


【それは良かった。今、平気?君の声が聴きたい。何つって】




♪♪〜



【今?良いよ。私も丁度あなたの声が聴きたかったのーとか言ってみたり】




♪♪♪〜


すぐに電話が掛かってくる。


画面には、遠哉の名前が。




「うわっ!マジで電話くれてるし。もしもし」

「よー、元気?」

「いや、今、メールで聞いたじゃん!」


「そうだった?いや〜、超暇でさ〜、メールしてみたんだ。やっぱり男よりも、なんだかんだ言って女の子が好きだから俺」


「何それ〜」



私達は色々と話をしていた。





次の日。



「ねえ、瑞生。遠哉と連絡先、交換した?」

「あ、うん。したよ」

「教えて!私も彰人の連絡先、教えるし」

「うん」



私達は、交換しあう。


昨日、遠哉にも尋ねた所だった。


だけど、微妙な返事が返って来た。


昨日の会話が蘇る。



「世利南にも教えて良い?」

「あー…」

「駄目?」

「いや…大丈夫。まあ、出来れば尋ねられた時にしてもらえると良いかな…?」

「そっか。分かった!じゃあ、そうする」

「悪い」

「ううん」




何かしらの理由があるのだろう?


確かに彼、遠哉は告白された事で付き合ったりしたという恋愛話を話してくれた。


女の子に対して色々な不安があるのかもしれない。


そう思った瞬間だった。





その日の夜、私達は、別々の相手との、やり取りをする。



そして、一段落がついた時――――



♪〜


【愛しの遠哉だよ】

【今、平気かな?良かったら連絡くれ、くれ!ちょ〜だい】



笑顔マークなど分かりやすく、ちょっと冗談交えた読みやすいメール。




♪♪〜


【どうも!瑞生だよ】

【世利南に連絡先、聞かれたから教えたけど良かった?】




♪〜


【大丈夫。約束だったから】





♪♪〜


【そう?それなら良かった】





♪〜


【でも、寂しかったりして】






♪♪〜


【どうして?】




♪〜


【いや…。ただ何となく】




♪♪〜


【答えになってないよ】




♪〜


【気にするな】






ちょっと意味深メールっぽい遠哉からの返事に戸惑うも、私達はメールのやり取りをするのだった。







メール


それは 何処か


自分を さらけ出せる


瞬間な 気がする………








































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