X’mas の Snow Man(仮)
ハル
第1話 小さなプレゼント
♪ジングルベル…
12月24日。
クリスマスイブ。
「おかしいなぁ〜…もう開演なのに…まだ、来ないのかな?」
ピピピ…
ピピピ…
私の携帯にメール着信。
「メール?」
【悪い。急用!今日は無理!埋め合わせするから、また今度】
「孝耶(こうや)の奴!」
私の名前は、芹川 瑞生(せりかわ みずき)。
私は、絖辺 孝耶(わたべ こうや)という彼氏がいる。
付き合って1ヶ月になろうとした時、それ含めイブを過ごそうとしていたんだけど………。
「せっかくのクリスマスプレゼント…埋め合わせって言っても…いつする気なんだろう?」
私は映画館を後に孝耶の住んでいるマンションに行く。
でも…運命のイタズラだった。
来るべきではなかったと思った瞬間が待受けていた。
マンションに一組のカップルが入って来る。
イチャイチャしながら、しかもキスまでのおまけ付き!
次の瞬間、目を疑った。
「…孝…耶…どういう…事……?」
「…あっ!…何、お前来ちゃったの?」
「…来ちゃったの…?って……プレゼント…今日渡さなきゃ意味がないって…思ったから…」
「………………」
「悪い…」
「…つまり…そういう事だったんだ…高校生の子供(ガキ)じゃ相手になんないって事だよね…?」
バンッ
プレゼントをぶつけるように渡す。
「あっ…ちょ…」
「最悪なイブだよ!私、持ってても意味ないし!やるわよっ!処分するなり好きなようにしなよ!彼女さんも、こんな目に遭わないようにして下さいねっ!」
スッと横切り走り去った。
私は街中をトボトボ帰る。
その途中――――
「可愛いーーっ!マーマぁー、これ欲しーーっ!」
「駄ー目ー」
私は、親子の会話に目を向ける。
どこにでも見受けられる姿。
微笑ましい。
そんな会話の先には、小さな雪だるまだった。
「…雪だるま…可愛い…冷たい…」
「1つどう?彼氏にプレゼントなんかいかが?」
ドキン
私の胸が大きく跳ねた。
《うわ…彼氏にフラレてブルーな私に一人の王子様が……》
「…彼氏…か…」
「何、何?凄いブルー…いや…一気にブルーじゃん!」
何も知らない男の子。
嫌味ない軽快なノリの良いテンポで話をしてくる。
ブルーな私の心を明るくしてくれるような男の子だ。
販売している為、営業のノリかもしれないけど……
「…今……フラレて…帰ってる途中なんですよね……私……」
「えっ!?そうなの!?」
「そうですっ!他の女とイチャイチャして、キスなんかして!もうっ!本当っ!最悪でっ!……最悪な…イブだよ…最悪な…誕生日…」
「………………」
「あっ…!ごめんなさい…あなたに愚痴っても仕方ないですよね…?それじゃ…」
帰り始める私。
「なあ!」
「はい?」
「名前、何?」
「えっ?」
「お前の」
「お前のって…いきなり、お前呼ばわり!?」
「良いじゃん!減るものじゃないし!」
「そうだけど!初対面なんですけどっ!?」
クスクス笑う男の子。
ドキン
「で?名前、何?」
「…みずき…」
「みずき?」
「…うん…」
「OK!」
「あの…」
「ちょっと待ってな!」
そして―――――
私に何かを渡す。
「メリークリスマス! & ハッピーバースデー!」
「えっ!?」
「やるよ!」
「えっ…?待って!駄目だよ!お金…」
「要らない!特別だから!」
「そ、そんなの駄目…」
「彼氏にフラれてブルー入ってるんだろう?しかも誕生日なら尚更じゃん!だから、俺からのプレゼントな!黙って受け取れ!」
「…でも…」
「ほら!早く行きな!帰って開ける事。じゃあな!瑞生ちゃん!」
そう言うと、お客様の対応の為に男の子は私の前から去った。
「いらっしゃいませ!お1つどうですかー?」
軽いノリで、テンポ良く、お客様を楽しませる男の子。
「………………」
私は渋々、帰る事にした。
家に帰り、開けて見ると、そこには……
『HAPPY X’mas & HAPPY Birthday MIZUKI』
メッセージカードと販売していた雪だるまが入っていた。
まさかのサプライズプレゼントにHAPPYになれた気がした。
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