第52話 青森登場② 北海道 青森 セタ

 昼休み

 青森がついに立ちあがり、紅潮した顔で北海道の席に歩み寄る。

 霊感の無い者から見ればどれほど甘酸っぱいシチュエーションに見えていた事だろうか。

 青森の視線の先にあるのはコロポックルのセタだが、今セタは北海道の肩の上にたっているため、周囲に青森が北海道に熱い視線を送っているように見える。

「み……道雪、なんかあの女怖いんだけど……」

 セタが北海道の顔にしがみつき、北海道もやや困った顔になる。

 そしてついに青森が北海道の目の前に辿り着いた時、北海道が確信をつくように自分の左肩を指して一言。

「見えてる?」

「…………」コクンと頷く。

「えっと……気になるか?」

「…………」再び頷く。

「好きなのか?」

 周囲の生徒がざわつく。

「……好き」

 周囲の生徒がさらにざわつく、無理も無い、精霊コロポックルが見えない生徒からすれば北海道が「自分の事が好きなのか」と青森に聞き、青森が「好きだ」と返答したようにしか見えないのだから。

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