第51話 青森登場 北海道 青森 セタ
「青森って美人だよな」
「でも近寄りがたいっていうか」
クラスで噂される青森こと青森林檎、一七〇センチを越える長身に抜群のプロポーション、そして知的で涼しげな印象を受ける珍しいタイプの美人であるが、未だクラスの人と話しているのをみた者はいない……が、
「?」
北海道が気がつくと、秋田を挟んだ二つ隣の席の青森がこちらに視線を向けたままソワソワしている。
とは言っても見ているのは北海道ではない、彼女が見ているのは。
「ちょっと道雪、ここ字が違うじゃない」
「お、おう……」
現在、北海道の目の前には身長一五センチほどの小人の少女がいる。
さきほどから机の上に立って北海道のノートと黒板を見ている。
「……」
青森が熱い視線を送っているのはどう見ても、明らかに北海道こと北海道雪(きたみみちゆき)の教育係り、精霊コロポックルのセタである。
やや吊り上がったキツイ目とヒザ裏まで伸びた長い髪が印象的な結構美少女で、服は当然アイヌ民族の伝統衣装を着ている。
(見えている……青森のやつ絶対にセタのこと見えている…………)
「ちょっと聞いてるの道雪!」
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