第16話 北海道の同居人① 北海道 セタ イセポ

「やれやれ、やっと落ち着けるな」


 放課後、北海道はようやく引っ越したばかりの学生寮に到着、やかましいクラスメイト達から解放された。

 溜息をつきながら北海道が学生寮のドアを開けると、


「あっ、道雪くんおかえり」

「遅かったわね」


 出迎えてくれたのは、白い古風な装束に身を包んだ二人の美少女である。

 額には三角と逆三角を連ねたような模様のハチマキを巻いた、アイヌ民族的な格好の二人に、北海道の表情がやや固まる。


(そういえばこいつらもいたんだったな)


 彼女達の正体はフキの下に住むと言われているアイヌ民族に伝わる精霊で、コロポックルと呼ばれる存在である。


 双子の姉妹で姉のセタは細身でヒザまで伸びるロングヘアーとやや鋭い目付きが目立つ。


 妹のイセポは対照的にふわふわのショートカットで幼く、おとなしそうな容貌で、顔に似合わず肉感溢れるスタイルをしている。


「なんでお前達大きくなっているんだ? いつもみたいに手の平サイズでいいだろ」


 大きく、と言ってもセタとイセポの背は等しく一四〇センチしか無い、元が手の平サイズなのだから確かに大きいと言えば大きいが……


「そんなの道雪を叱るために決まってるでしょ?」

「?」


 北海道が首を傾げると、セタとイセポは一度顔を見合わせてから「せーの」と言い、


「「エッチなのは、駄目なんだからね!!」」

「はっ?」


 北海道の首が逆向きに傾きなおった。

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